在留資格「家族滞在」は、特定の在留資格を持つ外国人に扶養される配偶者や子どもが、日本で生活を共にするための制度です。本記事では、申請手続や在留中に必要な届出に加え、高校卒業後に日本での就労を希望するお子さまに向けた在留資格の選択肢について解説します。
在留資格「家族滞在」とは
在留資格「家族滞在」は、出入国管理及び難民認定法別表第一に定められた在留資格を持つ外国人の扶養を受けて、配偶者や子が日本で日常生活を共にするために設けられた制度です。対象となる扶養者の在留資格には、以下のようなものがあります。
- 教授、芸術、宗教、報道
- 高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育
- 技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号
- 文化活動、留学
在留期間は、5年を超えない範囲で法務大臣が個別に指定します。
主な申請の種類
- 在留資格認定証明書交付申請:
家族滞在の在留資格で新たに日本に入国する場合。 - 在留資格変更許可申請:
現在別の在留資格で滞在している方が、家族滞在に該当する活動を行おうとする場合。
※元の活動を行っていないと、資格取消しの対象になることがあります。 - 在留期間更新許可申請:
家族滞在の資格で在留中の方が、その活動を継続する場合。 - 在留資格取得許可申請:
すでに日本に滞在している方が、家族滞在の在留資格を新たに取得する場合。
届出が必要な場面
- 住居地の届出:入国後に住居地を定めたとき(14日以内)
- 住居地変更の届出:住居地に変更があったとき(14日以内)
- 在留カード記載事項の変更届出:氏名などに変更があったとき(14日以内)
- 配偶者に関する届出:死別または離別したとき(14日以内)
高校卒業後に日本での就労を希望する場合
「家族滞在」の在留資格では、原則としてフルタイムでの就労は認められておらず、また、「技術・人文知識・国際業務」等の就労に関する在留資格に求められる大学等の学歴要件を満たさないため、そのような資格への変更はできません。
しかし、一定の要件を満たす場合には、「定住者」または「特定活動」への在留資格変更が認められる可能性があります。
以下、それぞれの変更要件について説明します。
「定住者」への在留資格変更
次のすべての要件を満たすことが必要です。
1.日本の義務教育を修了していること
2.日本の高等学校を卒業していること、または卒業見込みであること
3.入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格で日本に在留していること
4.入国時に18歳未満であったこと
5.就労先が決定していること(内定を含む)
6.住居地の届出など、公的義務をきちんと履行していること
※「留学」など、家族滞在以外の在留資格で在留していても、「家族滞在」の該当性がある方は対象となります。
※資格外活動許可の範囲(週28時間)を超える就労を希望する場合が対象です。
「特定活動」への在留資格変更
こちらも、以下のすべての要件を満たすことが必要です。
1.日本の高等学校を卒業していること、または卒業見込みであること
2.扶養者が身元保証人として在留していること
3.入国後、引き続き「家族滞在」の在留資格で日本に在留していること
4.入国時に18歳未満であったこと
5.就労先が決定していること(内定を含む)
6.住居地の届出など、公的義務をきちんと履行していること
※高等学校に途中編入して卒業した場合は、卒業に加え、日本語能力試験N2程度の日本語能力が必要です。
※「留学」等、家族滞在以外の在留資格であっても、該当性がある場合は対象です。
※この制度も、資格外活動許可の範囲を超える就労を希望する場合に限られます。

申請できる方
- 本人(申請人)
- 法定代理人(未成年者などの場合)
- 申請取次の届出をしている行政書士などの取次者
まとめ
在留資格「家族滞在」は、日本で暮らす外国人家族にとって重要な制度です。
子どもが日本の高校を卒業後も引き続き日本で働きたいと考えている場合には、「定住者」または「特定活動」への在留資格変更が認められる可能性があります。各制度の要件を正しく理解し、適切な手続きを行うことが大切です。
要件を満たしているかどうかご不安な方は、当事務所までお気軽にご相談ください。


