在留資格制度の基礎ガイド ― 受入れ機関が知っておくべきポイント

ビザ・在留資格

外国人を受け入れる際には、その活動内容に応じた在留資格を正しく理解することが不可欠です。本記事では、在留資格制度の基本的な仕組みや、その役割について、受入れ機関の立場から押さえておくべきポイントを解説します。

在留資格とは?

日本が受け入れる外国人は、「日本で行う活動の内容」または「身分・地位」によって分類されます。それぞれの活動や身分に対応する形で在留資格が定められ、外国人が日本に上陸・在留する際の前提となっています。

つまり、外国人が日本に滞在するためには、その活動内容があらかじめ定められた在留資格のいずれかに該当している必要があります。これは、日本が受け入れる活動を明示的に限定する“ポジティブリスト”の考え方に基づいています。

在留資格の役割

1. 在留資格の位置づけ ― 在留開始の前提となるもの

外国人が日本で在留を開始するには、あらかじめ日本で行おうとする活動が、いずれかの在留資格に対応する活動に該当している必要があります。これを「在留資格該当性がある」といい、この該当性が認められることが、在留資格の決定を伴う許可を受けるための要件となっています。

つまり、在留資格とは、外国人が日本での在留を開始するための法的前提であり、日本に受け入れられる外国人かどうかを判断する際の基準となる制度上の“入り口”としての役割を担っています。

2. 在留継続の要件としての在留資格

在留資格に基づいて在留する外国人が、その資格に対応する活動を行おうとしている場合、入管法上は「在留資格に該当する」とされます。これは、外国人が在留を開始する時点で、在留資格に見合った活動を日本で行うことを予定していることを意味します。

ただし、在留資格制度の本来の趣旨は、単に入国時の活動予定を確認するだけではありません。日本が受け入れる外国人を、在留資格に対応する活動を実際に行っている者に限定するという制度の目的を実現するためには、在留期間中を通じて、その活動を継続して行っていることが必要です

そのため、在留の継続を認める「在留期間の更新許可」においても、申請時点で外国人が引き続き在留資格に対応する活動を行っているかどうかが審査されます。仮に、活動の実態が伴っていない場合には、更新が不許可となるだけでなく、状況によっては在留資格の取消しの対象となることもあります。

3. 活動の規制の根拠としての在留資格

在留資格は、日本に在留することを可能とする法的な地位であり、外国人が日本に滞在するにあたって行う活動の種類を制度的に定めたものです。
この制度は、外国人が何らかの活動を行うことを目的として日本に在留することを前提としており、「在留する」とは、単に滞在することではなく、日本を基盤として一定の活動を行うことを意味します

そのため、在留資格を有する外国人は、原則として、当該在留資格に対応する活動のみを日本において行うことができます。逆に言えば、在留資格に対応しない活動を行うことは原則として認められていません。また、特別な法的根拠がない限り、在留資格を持たない外国人が、在留資格に基づく活動を行うこともできません。

在留資格を有する外国人であっても、別の活動を行おうとする場合には、その活動に対応する在留資格を新たに取得する必要があります
そして、もし外国人が行おうとする活動が、いずれの在留資格にも該当しない場合には、そのような活動を在留活動として行うことはできません。このような活動を目的として在留を継続することは、制度上、日本が受け入れる外国人の範囲に含まれていないと判断されるためです。

これは、外国人の受け入れの可否を、在留資格に対応する「在留活動」によって判断し、受け入れ範囲を限定するという在留資格制度の根本的な趣旨に基づくものです。

在留資格一覧表

入管法別表第一の上欄の在留資格(活動資格)

在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁

資格外活動とその例外

一方で、長期的に生活する中では、在留資格に該当しない副次的な活動を行う必要が出てくる場合もあります。そのため入管法では、一定の条件のもとで「資格外活動の許可」を得ることで、在留資格に対応しない活動を一部認めています

ただし、これが認められるのは、別表第1に定められた在留資格(例:「留学」「家族滞在」「技術・人文知識・国際業務」など)の場合であり、別表第2(例:「永住者」「日本人の配偶者等」など)の資格では、制限は設けられていません。


まとめ

在留資格制度は、外国人を受け入れるためのルールを明確に定めた制度です。受け入れる側の機関にとって、制度の基本的な仕組みや制限の内容を理解しておくことは非常に重要です。適正な在留と就労を確保するためにも、在留資格の該当性や活動内容の確認を常に意識し、必要に応じて専門家のサポートを受けることをおすすめします。