金属くず商は、廃棄された金属の回収・再利用を促進し、環境保護や資源の有効活用に貢献する業者です。金属くず商の営業には、大阪府を含む各都道府県の条例に基づいた許可が必要です。また、営業開始後も法令遵守を求められます。本記事では、大阪府での金属くず商許可申請の流れ、注意点、他都道府県との違い、そして金属類の窃盗被害に関連する注意点について詳しく解説します。
1.金属くず商とは
金属くず商の定義と役割
金属くず商は、鉄やアルミなどの金属廃材を回収し、リサイクルや再利用を行う業者を指します。これにより、金属資源の循環を促進し、環境保護と資源の有効利用を支える重要な役割を担っています。
金属くず商と古物商の違い
金属くず商は、主に廃棄物としての金属を取り扱うのに対し、古物商は中古品全般を売買します。金属をリサイクル目的で扱う古物商は、金属くず商の許可も必要になる場合があります。取引内容や範囲によっては、両方の許可が求められることもあります。
金属くず商の目的
金属くず商は、適切な廃棄物処理や再利用を行うことで、地域の環境保全や違法な廃棄物取引の防止に貢献しています。許可制度は、この業務が適正に運営されることを確保し、社会の安全を守るために設けられています。
2.大阪府金属くず営業条例について
金属くず営業条例の目的
大阪府の金属くず営業条例は、金属くずの取引が公正かつ適正に行われ、違法取引や環境破壊を防止するために設けられたものです。この条例は、業者が適正な事業運営を行うための枠組みを提供しています。
条例における管理者の役割
条例では、金属くず商の管理者に対して、営業の適正化と法令順守を徹底する責任が課されています。管理者は、従業員への教育や営業記録の保管、適切な管理運営を通じて、事業が法に基づいて行われるようにする義務があります。
条例違反に対する罰則
条例違反には、営業停止や罰金などの行政処分が科されることがあります。特に、無許可での営業や法令に違反する取引が行われた場合、厳しい罰則が適用されるため、法令を遵守することが求められます。
3.許可申請に必要な書類
- 金属くず業許可申請書
申請人(法人においては代表者)、業務を行う役員及び管理者の
- 履歴書
- 住民票写し
- 条例第4条第1号から第6号までのいずれにも該当しないことを誓約する書面 ※個人又は法人の代表者若しくは業務を行う役員が管理者を兼ねる場合は省略可
- (法人)定款及び申請人の登記事項証明書
- (未成年者)法定代理人の氏名及び住所を記載した書面並びに当該許可を受けていることを証する書面
(許可の基準)
第四条 公安委員会は、前条の許可を受けようとする者が次の各号のいずれにも該当しないときは、許可をしなければならない。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第三十六章又は第三十九章に定める罪を犯して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から一年を経過しない者
二 古物営業法第三条の規定に違反して許可を受けないで同条に規定する営業を営んだことにより刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から六月を経過しない者
三 前条の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から六月を経過しない者
四 第十九条の規定により許可を取り消され、その取消しの日から六月を経過しない者
五 心身の故障により金属くず商の業務を適正に実施することができない者として公安委員会規則で定めるもの
六 未成年者(営業について成年者と同一の行為能力を有する者を除く。)
七 法人の場合は、その業務を行う役員のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
4.申請後の流れと注意点
許可証の交付までの期間
大阪府の標準審査期間は40日です。申請が受理された後、許可証が交付されるまでは営業を開始することができませんので、事前に十分な計画を立てることが必要です。
営業開始後の義務
営業を開始した後も、金属くず商には法令を守るために帳簿等への記載等の義務が課されます。また、取引の際には相手方の氏名、住所、職業及び年齢等の確認を行う必要があります。これにより、不正取引や違法な金属取引を防ぐことが求められます。

他都道府県との違い
全国の条例の概要
日本各地で金属くず商の許可に関する条例は定められていますが、具体的な要件や申請手続きは地域によって異なります。例えば、申請に必要な書類や審査基準、管理者の責任範囲などは都道府県ごとに異なるため、各地域の条例の確認が必要です。
地域による規制の違い
都市部では盗難金属の取引防止策として、より厳しい規制が設けられていることもあります。地域の特性に応じた対策が取られているため、各地域の条例に基づいた適正な営業を行うことが求められます。
金属類窃盗被害の増加について
近年、金属類の盗難が増加しているため、金属くず商には取引の際の慎重な対応が求められています。特に、取引相手の身元確認や、盗難の可能性がある物品を取り扱う際の適切な対応が重要です。盗難品を購入してしまった場合、業者も処罰の対象となることがあるため、金属を買い取る際には十分な注意が必要です。

まとめ
大阪府のように金属くず営業条例が制定されている都道府県においては、業として金属くずを売買や交換、または委託を受けて売買や交換を行う場合には許可が必要です。業務内容によっては「古物商許可」もしくは「金属くず商許可」のみでは対応できない場合がありますので、ご自身の業務について何の許可が必要なのか整理されることをおすすめします。また、今後のお仕事の幅が広がるように両方の許可を取得されるのも選択肢の一つかと思います。