外国人を雇用するときに知っておきたい在留資格の手続きとポイント(令和7年10月版)

ビザ・在留資格

外国人を雇用する機会が増えてきた昨今、実際に受け入れる際には「どの在留資格で働けるのか」「どのような手続きが必要か」といった疑問を持つ事業者様も多いのではないでしょうか。
本記事では、外国人を雇用しようとお考えの事業者様から寄せられる主な疑問点について整理します。

採用予定の業務が行えるか確認するには

就労可能な在留資格を持つ外国人を採用したい場合は、「就労資格証明書」の交付申請を行うことで、その在留資格で予定業務が可能かを確認できます。
申請できるのは本人法定代理人、または申請取次者で、申請先は外国人本人の居住地を管轄する地方出入国在留管理官署です。オンライン申請にも対応しています。

在留資格認定証明書の申請先と審査期間

「在留資格認定証明書交付申請」は、雇用予定の外国人を海外から呼び寄せる場合に行う手続きです。
申請先は、事業者の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署となります。
また、事業者の職員が「申請取次」の承認を受けている場合は、「在留資格変更許可」や「在留期間更新許可」の申請も可能です。この場合、申請先は外国人の居住地ではなく、当該職員の勤務地を管轄または分担する管理官署となります。

審査の標準処理期間は次のとおりです。

在留資格認定証明書:1~3か月
在留資格変更許可:1~2か月
在留期間更新許可:2週間~1か月

在留期間は、就労予定期間活動実績公的義務の履行状況契約内容や実績などを総合的に判断して決定されます。

留学生を採用するときの手続きと注意点

日本の大学に在籍する留学生を採用する場合、卒業見込証明書の提出があれば「在留資格変更許可申請」を行うことができますが、卒業後に卒業証明書の提出が必要です
例年、3月卒業予定者の申請受付は12月から始まります。審査結果は、卒業証明書を提出後に交付されます

また、卒業見込証明書や卒業証明書など、何度でも交付を受けられる書類は原本の提出が必要です。卒業証書の場合は写しを提出しますが、この場合も原本の確認が必要となります。

留学生が卒業した後は「留学」の活動を終えており、資格外活動(アルバイト)はできません
ただし、就労資格への変更許可が下りる前でも、入社式報酬が発生しない研修への参加は差し支えありません。

雇用契約書の作成時期と留意点

「在留資格認定証明書交付申請」や「在留資格変更許可申請」の段階では、必ずしも雇用契約書を作成していなくても構いません。
ただし、労働条件(業務内容・給与・雇用期間など)が明示された書類(労働条件通知書等)の提出が必要です。

また、就労資格をまだ取得していない外国人を採用する場合は、就労資格の取得を条件とする停止条件付き雇用契約」として、雇用契約書を作成する方法が一般的です。
たとえば、雇用開始日を「出入国在留管理局の許可日から有効とする」といった条件を付す形です。

外国人を雇用する場合も日本人と同様に労働基準法などの労働関係法令が適用されますので、労働条件の明示が必要です。
また、審査の過程で雇用理由業務内容についてさらに具体的な説明を求められることもあります。

「技術・人文知識・国際業務」と「特定活動(告示46号)」の違い

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、一般的なサービス業や製造業の業務は主たる活動として認められていません
一方、「特定活動(告示46号)」は、日本の大学を卒業した外国人が、学んだ知識や日本語能力を活かして幅広い業務に従事できる制度です。
たとえば、飲食店で店舗管理や通訳を兼ねた接客業務(日本人客対応を含む)を行うことも可能です。

なお、「技術・人文知識・国際業務」でも採用初期のOJT(研修)は認められますが、OJTが採用初期に留まらず在留期間の大半を占めるような場合は、資格該当性を欠くおそれがあります。

技能実習・特定技能から「技術・人文知識・国際業務」への変更は可能?

「特定技能」で受け入れた外国人のキャリアアップは、「特定技能1号」から「特定技能2号」への移行が基本です。
そのため、「技能実習」や「特定技能」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更してキャリアアップを図ることは想定されていません
また、「技能実習」や「特定技能」での経験をもって、「技術・人文知識・国際業務」に必要な「実務経験」とみなされることもありません

まとめ

外国人の雇用にあたっては、在留資格の種類によって就労可能な業務や申請手続が異なります。採用前に、従事予定の業務が在留資格に合致しているかを確認することが重要です
当事務所では、事業者様の外国人雇用に関する各種申請手続きをサポートしています。