第一種動物取扱業者が守るべき基準とは―ペットサロン・ペットホテルの運営に必要なルール

ペット関連

ペットサロンペットホテルを開業するには、「第一種動物取扱業」の登録が必要です。
この登録業者には、飼養施設の構造や規模、動物の管理・保管方法などに関する細かな基準が定められています
これは、動物の健康と安全を守り、生活環境への悪影響を防止することが目的です。

令和3年6月1日に施行された「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令」(飼養管理基準)により、具体的なルールが示されています。
環境省のホームページにも「守るべき基準」が掲載されています。

主な基準の概要

動物取扱業者が守るべき基準は、次のとおりです。自治体によっては、地域の事情に応じた独自の基準が設けられている場合もあります

  • 飼養施設の構造・規模等に関する事項
    ・動物ごとに十分な広さと空間を確保すること
    ・給水・給餌器具や遊具など、必要な設備の設置
  • 施設の維持管理に関する事項
    ・1日1回以上の清掃
    ・動物の逸走防止
  • 動物の管理方法等に関する事項
    ・幼齢動物(生後56日齢以下)の販売制限
    ・購入者への現物確認と対面説明
    ・広告の表示規制、関係法令違反の取引制限
  • 全体的事項
    ・標識や名札(標別票)の掲示
    ・動物取扱責任者の配置

動物取扱責任者とは
専属の常勤職員のうち、業務を適正に営むために十分な技術的能力及び専門的な知識経験を有する者として、一定の要件を満たした者をいう。

飼養施設に必要な設備

飼養施設には、ケージ、給水設備、消毒設備、餌の保管や清掃設備、遮光・防風雨のための設備などが必要です。訓練業の場合は訓練場も求められます。

ケージ等の考え方とタイプ

「ケージ等」とは、おりやカゴに限らず、平飼い設備や運動スペースを囲う柵、部屋全体を使った放し飼いの設備も含まれます。
これらの飼養設備は、用途に応じて「分離型」「一体型」に分けられ、それぞれに基準が定められています。

  • 分離型
    寝床や休息場所としてのケージを想定するタイプで、飼養期間にかかわらず基準を満たす必要があります。長期間飼養する場合は、別に一体型と同等以上の運動スペースを設ける必要があります。
  • 一体型
    寝床と運動スペースが一体となった設備(平飼い等)。ただし、一体型の基準を満たさない平飼いは分離型とみなされ、別途運動スペースの確保が求められます。

ケージ等の大きさと構造基準

犬や猫のケージ等は、自然な姿勢で立ち上がったり、横たわったり、方向転換や身繕いが無理なくできる広さが必要です
個体の体長体高をもとに、必要な面積を算出する基準が定められています。

  • 体長:胸骨の先端から坐骨の端までの長さ
  • 体高:地面から肩甲骨の上端までの高さ
体長・体高の測り方

運動スペースの設置基準

動物を長期間にわたって飼養する場合は、ケージとは別に、動物が自由に走るなどの運動ができるスペースを確保し、常に利用できる状態で管理する必要があります。
また、1日3時間以上はこの運動スペースに出して自由に運動させることが義務付けられています。

一方、ペットホテルでの数日の預かりや、ペットサロンでの短時間の保管(トリミングなど)の場合は、「長期間の飼養」には当たらないため、運動スペースの設置や運動時間の確保は必須ではありません

ケージ等の構造等の基準

ケージや飼育設備は、動物がケガをしたり、ストレスを感じたりしないよう、安全な構造と材質であることが求められます。
特に、床材やケージの状態については、次のような点が基準として定められています。

  • 床に金網が使われていないこと
    ※犬猫の肉球が傷まないよう十分に配慮されている場合を除く
  • サビ、割れ、破れなどの破損がないこと

立入検査・罰則の仕組み

必要に応じて都道府県等の動物愛護担当者が立入検査を行い、基準違反がある場合は、改善の勧告や命令を行います。悪質な業者には、登録の取消し業務停止命令が行われることがあります。

登録せずに営業した場合や命令に従わなかった場合は100万円以下の罰金、登録内容変更の届出をしなかったり、虚偽報告をした場合は、30万円以下の罰金に処せられます。

ペットの送迎サービスを行う場合

送迎サービスを行う場合には、運送事業の許可や届出が必要となる場合があります。
無許可で行うと罰則の対象になることもあるため、事前の確認が重要です。

まとめ

ペットサロンペットホテルを営むためには、「第一種動物取扱業」の登録と、
動物の飼養・保管方法などに関する多くの基準を遵守する必要があります。
これらは動物の健康を守るだけでなく、地域社会との信頼関係を築くためにも欠かせません。

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