技術実習制度の概要と法改正による保護体制の整備

ビザ・在留資格

技能実習制度は、日本が国際社会への貢献の一環として実施している制度で、開発途上国等の若者に対して、日本国内でのOJT(職場内訓練)を通じた技能移転を目的としています
2017年には、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、制度運用の適正化と技能実習生の保護が、より重視されるようになりました。
この記事では、技能実習制度の目的や法改正による変化について解説します。

技能実習法の概要

技能実習法では、以下のような制度整備が行われました。

  • 技能実習の基本理念を定め、関係者の責務や基本方針を明確化
  • 技能実習計画の「認定制」の導入と、認定基準の設定
  • 実習実施者の「届出制」、監理団体の「許可制」の導入
  • 技能実習生の人権保護、相談支援、罰則の整備
  • 外国人技能実習機構(認可法人)の設立と、監査・指導体制の強化

これにより、制度運用の透明性や実効性が大きく向上しました。

制度見直しの背景と改善点

旧制度では、監理団体や実習実施者の責任が曖昧で、実習生の保護体制も不十分でした。また、不適正な送出機関や政府間取決めの欠如も問題視されていました。
これに対し、見直し後の制度では、以下のような改善がなされています。

  • 監理団体の許可制、実習実施者の届出制、技能実習計画の認定制など制度的な整備
  • 外国人技能実習機構(認可法人)の新設による報告及び実地監査の実施
  • 通報・申告窓口の整備、人権侵害行為に対する罰則の整備
  • 関係行政機関から成る地域協議会を設置し、指導監督・連携体制の構築
  • 不適正な送出機関の排除を目指した相手国政府との協力体制

技能実習制度の仕組み

技能実習制度は、原則として3段階(第1号~第3号)で構成され、最長5年間の滞在が認められています。第3号への進級には、優良な実習実施者・監理団体による受入れが条件です。
技能実習生は、入国後の講習期間を除き、雇用関係の下で労働関係法令が適用されます。令和6年現在、約46万人の技能実習生が日本で在留しています。

技能実習計画と監理団体の基準

技能実習を実施するには、個々の技能実習生ごとに計画を作成し、外国人技能実習機構の認定を受ける必要があります。その認定には、技能の種類、目標の明確性、実習内容、待遇など多岐にわたる基準が設けられています。
一方で監理団体には、非営利法人であることや財務的安定性、個人情報保護体制の整備、適正な外国送出機関との契約など、厳格な許可基準が課せられています。

技能実習生への相談・支援体制

制度の見直しにより、技能実習生が安心して働ける環境整備も進められています。

たとえば、

・母国語による通報・相談窓口の整備
・実習先変更支援体制の構築
・技能実習生への一時宿泊先の提供
・技能検定等の受検手続支援

などが行われています。

外国人技能実習機構  受検手続支援サイト

稼働時間:7時30分~21時00分(日曜日を除く)

https://www.juken.otit.go.jp/

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まとめ

技能実習制度は、日本が国際社会に貢献するために創設された制度ですが、過去には実習生の権利侵害や制度の乱用など、さまざまな課題も指摘されてきました。
2017年の技能実習法施行を契機に、制度の運用は大きく見直され、実習の質や実習生の保護に重点が置かれるようになっています
今後も制度の本来の趣旨「人づくりを通じた国際貢献」を実現するために、さらに丁寧な運用と柔軟な制度改革が求められます。