交通事故に遭ってしまったとき、治療費や生活費のことなど、経済的な不安を強く感じる方は少なくありません。そんなときに役立つのが、自賠責保険(共済)による補償です。
しかし、実際の請求の流れは「請求書提出」「損害調査」「審査」「支払決定」などいくつかの段階を経る必要があり、さらに請求の種類(加害者請求・被害者請求)や期限、必要書類なども複雑です。
この記事では、事故の被害者の方が安心して保険金を受け取れるように、自賠責保険金(共済金)の請求から支払いまでの流れを、できるだけわかりやすくご案内します。
請求から支払までの流れ
自賠責保険金(共済金)の請求から支払までの流れは次のようになります。
- 交通事故による損害の発生
- 自賠責保険金(共済金)の請求
- 事故・損害の調査
- 審査会による審査
- 支払額の決定
- 自賠責保険金(共済金)の支払
自賠責保険金を受け取るまでの流れ
事故の被害者は、以下のような流れで、保険金(共済金)を受け取ることができます。
ステップ1 請求書類を保険会社へ提出
請求者は、損害保険会社(共済組合)に自賠責保険・共済の請求書類を提出します。
ステップ2 中立の機関による損害調査
損害保険会社(共済組合)では、請求者から提出された自賠責保険・共済の請求書類を確認して、損害保険料率算出機構(以下「損保料率機構」といいます)の調査事務所に送付します。
損保料率機構調査事務所においては、事故の発生状況、支払の適確性及び発生した損害額などを公正かつ中立の立場で調査します。適確性とは、「自賠責保険・共済の対象となる事故かどうか」「傷害と事故との因果関係」などを指します。
損害保険料率算出機構とは?
損害保険料率算出機構は「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づき、設立された団体で、自賠責保険・共済の基準料率の算出を行うとともに、事業の一環として、自賠責損害調査センターにおいて、全国に地区本部、自賠責損害調査事務所を設置し、自賠責保険・共済の損害調査を行っています。
ステップ3 調査結果をもとに支払いが決定
損保料率機構調査事務所は、損害保険会社(共済組合)に調査結果を報告します。損害保険会社(共済組合)は、支払額を決定し、請求者に保険金(共済金)を支払います。
請求の種類
加害者請求:加害者がまず被害者に損害賠償金を支払い、そのあとで自賠責保険金(共済金)を損害保険会社(共済組合)に請求します。
被害者請求:加害者側から賠償が受けられない場合、加害者が加入している損害保険会社(共済組合)に損害賠償額を直接請求することもできます。
請求期限について
| 対象 | 加害者請求 | 被害者請求 | 被害者請求 | 被害者請求 |
| 請求区分 | 傷害 後遺障害 死亡 | 傷害 | 後遺障害 | 死亡 |
| いつから | 損害賠償金を支払ってから | 事故発生 | 症状固定 | 死亡 |
| いつまで(時効) | 損害賠償金を支払った翌日から3年以内 | 事故発生の翌日から3年以内 | 症状固定日の翌日から3年以内 | 死亡日の翌日から3年以内 |
※自賠責保険・共済は3年で時効となり、請求する権利が消滅します。何らかの理由で請求が遅れてしまう場合は、時効更新の制度がありますので、各損害保険会社(共済組合)に相談しましょう。
※症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった時をいい、医師によって判断されます。
仮渡金(かりわたしきん)制度について
事故の被害者はすぐに治療費の支払等のお金が必要になります。この制度は、その費用をまかなうお金を早く受け取るためのものです。
被害者は、加害者が加入している損害保険会社(共済組合)に対し、死亡の場合290万円、傷害の場合は程度に応じて5万円、20万円、40万円を請求することができます。
請求に必要な書類
事故の内容によって、以下のような書類提出が必要です。
- 自賠責保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書(※)
- 交通事故証明書(人身事故)
- 事故発生状況報告書(※)
- 医師の診断書(※)または死体検案書(死亡診断書)
- 診療報酬明細書(※)
- 通院交通費明細書(※)
- 付添看護自認書(※)または看護料領収書
- 休業損害証明書(※)
- 納税証明書、課税証明書または確定申告書など
- 損害賠償額の受領者が請求者本人であることの証明(印鑑証明書)
- 委任状および委任者の印鑑証明書
- 戸籍謄本(死亡の場合)
- 後遺障害診断書(※)(後遺障害の場合)
- レントゲン・CT・MRI画像など
赤い太文字(※)の用紙は損害保険会社(共済組合)に備え付けがあります。
また、上記以外の書類が必要なときは、損害保険会社(共済組合)または損保料率機構調査事務所から連絡があります。
まとめ
この記事では、自賠責保険金(共済金)の請求から支払いまでの流れや、必要となる書類についてご案内しました。
交通事故の被害に遭うと、保険金を受け取るまでの手続きや書類の準備が負担に感じられることも少なくありません。特に被害者請求の場合は必要書類が多いため、ご自身だけで進めるのが不安な方も多いでしょう。
そのようなときは、弁護士など専門家に相談することで手続きをスムーズに進められ、安心して補償を受け取ることにつながります。事故後の不安を少しでも軽くするために、ぜひ参考にしてみてください。
お役立ちメモ
交通事故に遭って、相談先にお困りの方には、「交通事故被害者ホットライン」が設けられています。
また、相談内容ごとに公的な相談機関もありますので、お困りのときは以下をご参考になさってください。


