自動車やバイクを所有していると、必ず加入しなければならない「自賠責保険」。車検のときに手続きをしているものの、その仕組みや補償内容について詳しくは知らない、という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自賠責保険の基本的な役割や補償範囲、任意保険との違いについて整理しました。
そもそも自賠責保険とは?
自賠責保険・共済の正式名称は、「自動車損害賠償責任保険及び自動車損害賠償責任共済」といいます。
自賠責保険・共済は、交通事故を起こした人(加害者)から被害者への損害賠償の補填をはじめ、寝たきりや車いす利用など、日常生活動作において介護が必要なかたの介護料の支援や、重度の後遺障害の方々の治療を専門とする病院の運営など、さまざまな形で被害者を救済している保険・共済制度です。
交通事故とはどう定義されるのか
道路交通法において、交通事故とは「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」(道路交通法67条2項)をいいます。
また、警察庁の「交通事故統計における用語の解説」においては、「道路交通法第2条第1項第1号に規定する道路において、車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、人の死亡又は負傷を伴うもの(人身事故)並びに物損事故」を交通事故というとしています。
つまり、「車両等の交通による事故」であること、「道路交通法に規定する道路における事故」であること、この2つの要件を満たす事故が交通事故となります。
自賠責保険の6つの特徴
- すべての自動車(原動機付自転車、電動キックボード、モペットを含む)は、自動車損害賠償保障法に基づき、自賠責保険・共済に入っていなければ運転することはできません。自動車保険・共済に加入していないと、車検を受けることができません。
- 物損事故は補償の対象にはなりません。自賠責保険・共済の対象は、人身事故による対人損害賠償のみとなります。
- 支払限度額は被害者1人に対して定められた金額です。1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1人ごとに支払限度額が設定されます。
- 被害者は、加害者が加入している損害保険会社(共済組合)に直接、自賠責保険(共済金)を請求することができます。
- 一時的な出費(治療費等)にあてるため、自賠責保険金(共済金)の金額が確定し、支払いが行われるよりも前に受け取れる仮渡金制度があります。
- 交通事故の発生の理由において、被害者に重大な過失があった場合にのみ自賠責保険金(共済金)が減額されます。
補償内容と限度額
自賠責保険・共済による損害賠償の補填の支払限度額は、事故の被害者1人につき以下の通りです。
死亡による損害:最高3,000万円
後遺障害による損害:最高4,000~75万円(後遺障害等級による)
傷害による損害:最高120万円
1つの事故で複数の被害者がいる場合でも、被害者1人ごとに上記の支払限度額が設定されます。ただし、物損事故は支払いの対象にはなりません。
加入しないとどうなる?
自賠責保険・共済は必ず加入の必要がある強制保険・共済です。
すべての自動車(原動機付自転車、電動キックボード、モペットを含む)は、自賠責保険・共済に加入することが義務付けられています。
もし、自賠責保険・共済に加入せずに自動車を運転した場合、以下の処分がなされます。
- 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 違反点数6点(免許停止処分)
任意保険との違い
自賠責保険・共済の対人賠償においては、支払限度額が定められているため死亡事故や、障害が残るような事故の場合などは、自賠責保険・共済の支払限度額を超えた賠償金を支払う義務が発生することがあります。
また、対物賠償(物損事故等)や、加害者の自己の治療費や車両等の損害は補償の対象外です。そのため、自賠責保険・共済では補償が十分でないと考える方には、自賠責保険・共済に加えて任意保険(自動車保険・共済)加入することが推奨されます。
保険料の仕組み
自賠責保険・共済は、すべての自動車に加入が義務付けられている強制保険です。保険料は契約者の年齢や事故歴などに関係なく、車種(自家用乗用車、軽自動車、原動機付自転車など)ごとに一律で決められています。また、損害保険会社や共済組合の利益を含まない「最低限の保険料」であり、これは「ノーロス・ノープロフィット原則※」に基づいて算定されています。
一方、任意保険(自動車保険・共済)は、自賠責保険の支払限度額を超える対人賠償や、物損事故など自賠責の対象外となる部分を補うためのものです。こちらの保険料は、契約者の属性や事故歴によって金額が変わり、さらに保険会社や共済組合の利益も含まれます。
なお、保険料や補償内容、支払限度額などは、各保険会社や共済組合が提供する商品ごとに異なります。
ノーロス・ノープロフィット原則とは?
自賠責保険料(共済掛金)は、損失も利益も出さないように、毎年検証され、必要に応じて調整されています。これを「ノーロス・ノープロフィットの原則」と呼びます。
保険料(共済掛金)の金額は、金融庁において、収入と支払い額のバランスの検証結果に基づいて、例年1月に開催される自動車損害賠償責任保険審議会(自賠審)における審議を経て決定されます。
まとめ
自賠責保険は、交通事故の被害者を救済するためにすべての自動車に加入が義務付けられている保険です。補償内容には限度があり、物損事故や限度額を超える損害は対象外となります。そのため、任意保険と組み合わせて備えることが重要です。
この記事を通じて、自賠責保険の基本的な仕組みや任意保険との違いを理解するきっかけとなれば幸いです。
お役立ちメモ
国土交通省のホームページでは「交通事故にあったときには」という冊子が公開されています。事故直後の対応や必要な手続きについてわかりやすくまとめられているので、万が一の備えとして目を通しておくと安心です。

