日本では深刻なIT人材不足が続いており、その解決策のひとつとして外国人IT人材の受入れが進められています。
外国人が日本でIT分野の業務に従事する場合、主に「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)の在留資格が利用されます。
さらに、学歴や職歴、年収などを基準とする「高度人材ポイント制」により高い評価を得た場合には、「高度専門職」として認められ、出入国管理上のさまざまな優遇措置を受けることができます。
本記事では、外国人IT人材を受け入れる企業に向けて、「技人国」と「高度人材ポイント制」、そして高度人材に与えられる優遇措置について整理します。
「技術・人文知識・国際業務」(技人国)とは
外国人がIT分野で働く場合、最も一般的に利用されるのが在留資格「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)です。
この在留資格は、自然科学や人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務に従事する外国人に認められます。
IT人材として「技人国」の資格を得るためには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 学歴や実務経験などに基づく専門性の要件
・関連分野の大学卒業または同等以上の教育を受けていること
・日本の専修学校専門課程を修了(専門士または高度専門士)していること
・10年以上の実務経験があること(大学での学修期間を含む)
・法務大臣が告示で定める情報処理技術試験に合格または資格を保有していること - 報酬に関する要件
・日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること
高度人材ポイント制と「高度専門職1号」
「高度専門職1号ロ」の在留資格は、通常の「技人国」の要件に加え、高度人材ポイント制による評価で一定の点数を得た場合に付与されます。
この制度は、学歴や職歴、年収、日本語能力などを点数化し、合計が70点以上で高度人材と認定される仕組みです。
ポイント加算の例
・IT等の成長分野において所管省庁が関与する先端プロジェクトに従事する人材
・トップ大学卒業者
・外務省が実施する「イノベーティブ・アジア」事業に基づく日本での研修を修了した者
・複数の修士号又は博士号を取得した者
・一定の水準の日本語能力を有する者
高度人材ポイント制は、企業が優秀な外国人IT人材を採用する際の指標となるだけでなく、採用後の待遇や在留条件にも影響するため、制度の理解が重要です。

事例で見る「技人国」と「高度専門職」
実際に外国人IT人材が日本で働くケースを見てみると、制度の理解がさらにわかりやすくなります。
技人国に該当する例
- 大学卒業者(日本)
日本の大学工学部で情報処理工学を専攻して卒業し、ソフトウェア会社でプログラマーとして月額30万円の報酬で従事する場合。 - 海外高校卒業後の資格保有者
海外の高校を卒業後、法務省告示で定められた情報処理技術試験に合格し、日本のIT企業でシステムエンジニアとして月額20万円の報酬で業務に従事する場合。
高度専門職1号ロに該当する例
- 例1
外国の大学で修士号を取得(25点)、IT関連で7年の職歴(15点)、30歳(10点)、年収600万円(20点)の人が経営支援ソフトの開発業務に従事 → 合計70点 - 例2
IT告示の試験に2つ合格(10点)、日本語能力試験N2(10点)、IT関連職歴10年(20点)、36歳(5点)、年収700万円(25点)の人がITシステム運用管理業務に従事 → 合計70点以上

高度人材に与えられる優遇措置
- 高度専門職1号の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
- 在留期間が無期限となる
- 在留歴に係る永住許可要件の緩和
- 配偶者の就労
- 親の帯同(一定の要件があります)
- 家事使用人の帯同(一定の要件があります)
まとめ
外国人IT人材を受け入れる際には、在留資格制度の理解が不可欠です。
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」は学歴や実務経験、報酬に基づき適用され、さらに高度人材ポイント制で70点以上を獲得すれば「高度専門職」として認められ、永住許可要件の緩和や家族帯同などの優遇措置を受けられます。
企業にとって、これらの制度を正しく理解し活用することは、優秀な外国人IT人材を確保するための重要な手段です。
まずは自社の受入れ条件に合わせてポイント制度を確認し、具体的な採用計画に役立てましょう。


