「介護」の現場で働くために-制度の基礎ガイドと「特定活動」の活用

ビザ・在留資格

日本で介護福祉士として働くためには、「介護」の在留資格が必要です。
近年は外国人の介護人材の受け入れが進み、留学生の進路としても注目されています。
本記事では、介護福祉士として働くために必要な在留資格「介護」の制度や、国家試験合格後・養成施設卒業後の措置について解説します。

在留資格「介護」とは

「介護」の在留資格は、日本の公的・私的な介護施設などとの契約に基づいて、介護福祉士の資格を持つ外国人が介護やその指導に従事する活動に認められるものです。
令和2年4月1日の法改正により、どのルートで介護福祉士資格を取得した場合でも、「介護」の在留資格が認められるようになりました

1.国家試験合格ルートの留学生に対する措置

介護福祉士国家試験に合格した留学生は、登録証の交付前でも、次の条件のもとで介護施設で就労が可能となる措置があります。

  • 合格年度の翌年度4月1日から登録証交付までの間「特定活動」の在留資格で介護等の業務に従事可能。
  • 対象:実務経験ルートや福祉系高校ルートで国家資格を取得した方。

この措置により、介護施設へのスムーズな就労継続が可能になります。

2.介護福祉士養成施設ルートの留学生に対する措置

養成施設を卒業し、国家試験を受けずに介護福祉士資格を取得するルート(附則第6条の3の適用・いわゆる養成施設ルート)の場合、次の措置が設けられています。

  • 卒業年度の翌年度4月1日から登録証交付までの間、「特定活動」の在留資格で介護等の業務に従事可能。
  • 対象:令和8年度までに、文科大臣・厚労大臣または都道府県知事指定の介護福祉士養成施設を卒業した方。
  • この制度を利用して資格を得るには、5年間継続して介護業務に従事することが要件。

【提出資料】

在留資格変更許可申請に必要な主な書類は以下のとおりです:

  1. 在留資格変更許可申請書
  2. 写真(6か月以内に撮影されたもの)
  3. パスポート・在留カードの提示
  4. 国家試験合格者:受験票の写し(後日、合格通知書の提出が必要です)
  5. 養成施設ルート:卒業証書または卒業証明書
  6. 雇用契約書等の写し
  7. 勤務先のパンフレット等

【よくある質問】

Q. 雇用契約書にはどのような内容が必要ですか?

A. 外国人であっても、日本人と同様に労働関係法令(労働基準法等)が適用されます。
したがって、労働条件が明示されており、適正な契約内容であることが求められます。

ご家族(配偶者・子)に関する在留資格変更

この措置の対象となる外国人の方に扶養されて在留している配偶者やお子さまについても、「特定活動」への在留資格変更が認められる場合があります。

変更申請を行うには、ご家族分についても所定の資料を添えて申請する必要があります。

まとめ

在留資格「介護」は、外国人が日本の介護現場で活躍するための重要な制度です。
国家試験ルート養成施設ルートなど、資格取得の経路によって異なる手続きが必要ですが、いずれも制度に基づいた就労が可能です。
スムーズに介護職へ就くためには、登録証の交付前に認められる「特定活動」などの制度を理解し、適切な手続きを行うことが大切です。