留学生が起業するには-新たな制度「特定活動」のポイント

ビザ・在留資格

日本で学び、日本でビジネスを始めたい――。そんな思いを抱く外国人留学生に向けて、2020年に「起業活動を支援する新たな在留資格制度」が導入されました。 この制度では、日本の大学等を卒業した留学生が、起業に向けた活動を継続するために、在留資格「特定活動」で最長2年間の在留が認められるようになりました。 この記事では、制度の概要や対象者、在留要件、注意点などについてわかりやすく解説します。

制度創設の背景

2020年7月17日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」等において、外国人留学生による起業の円滑化が掲げられました。 これを受けて、政府は一定の条件の下で、大学等の卒業後も起業活動を継続できるよう在留資格「特定活動」による最長2年間の在留を認めることとしました。

対象となる留学生のパターン

この制度は、主に以下の2つのケースに分けて適用されます。

(1)卒業後すぐに制度を利用する場合

以下の要件すべてを満たす必要があります:
「留学生就職促進プログラム」または「スーパーグローバル大学創成支援事業」の対象校(大学、大学院、短大、高専)を卒業していること
在学中からすでに起業活動を行っていたこと
• 上記の学校が、申請者の起業活動を推薦・支援すること
• 起業活動の進捗について、学校に報告すること
• 起業が困難となった場合には、学校が帰国支援等を行う体制があること

(2)外国人創業活動促進事業等を経て移行する場合

一度「外国人起業活動促進事業」や「国家戦略特区外国人創業活動促進事業」を利用したものの、起業に至らなかった方が対象です。 要件は以下の通り:
• 日本の大学等を卒業していること
• 上記事業を通じて在留していたが、期間内に起業に至らなかったこと
• 起業に至らなかった理由について、地方公共団体等から合理的な説明と今後起業を行うことの確実性が高いことの評価が行われること
• 大学または地方公共団体から推薦と支援を受けられること
• 起業活動の進捗について報告を行うこと

留学生就職促進プログラム対象校:文部科学省

選定大学の取組状況について

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1394574.htm

スーパーグローバル大学創成支援事業対象校:文部科学省

スーパーグローバル大学創成支援の大学ホームページへのリンク集

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/sekaitenkai/1360288.htm

制度利用の留意点

本制度で認められる在留期間は最長2年間です。 この期間内に起業活動を完了し、事業を開始した場合は、「経営・管理」への在留資格変更が必要となります
また、制度の適用を受ける留学生の配偶者や子どもが引き続き日本に在留を希望する場合は、それぞれ「特定活動」への在留資格変更を行う必要があります。

まとめ

この制度は、日本で学んだ外国人留学生が、そのまま日本での起業にチャレンジできる道を開く新しい取り組みです。 支援を受けられる大学や団体が限られていること、要件が細かく定められていることから、制度の利用には十分な準備と確認が必要です。
在留資格の変更や起業準備にあたっては、手続きや要件を正確に理解することが大切です。 ご自身で判断が難しい場合は、専門家に相談されることをおすすめします。