在留カードとマイナンバーカードの一体化-令和6年制度改正の概要

ビザ・在留資格

令和6年6月21日、外国人の在留カードとマイナンバーカードを一体化することを可能とする制度改正が公布されました。
これにより、外国人にとって手続きの簡素化・生活の利便性の向上が期待されるとともに、行政側の効率化も図られることになります。
本記事では、この法改正の概要と、導入される「特定在留カード」等についてわかりやすくご紹介します。

制度改正の背景と目的

日本に中長期で在留する外国人の多くは、現在「在留カード等」(在留カードや特別永住者証明書)と、マイナンバーカードの2種類のカードを持っています。
しかし、この2つは別々の行政機関(入管と市区町村)で管理されており、住所変更や在留資格変更などの際、それぞれに手続きを行う必要がありました。

こうした煩雑な手続きを解消し、生活の質を向上させることを目的として、今回の法改正が行われました。
あわせて、行政手続きの効率化も図られることとなっています。

一体化されたカードとは?-特定在留カード等

今回の改正により、新たに導入されるのが「特定在留カード等」です。

特定在留カードとは

在留カードにマイナンバーカードとしての機能を加えたもので、1枚で両方の役割を果たすカードです。

特定特別永住者証明書とは

特別永住者証明書にマイナンバーカード機能を加えたもので、特定在留カードと同様の機能を持ちます。

これらのカードを取得することで、在留カードとマイナンバーカードの両方の機能を1枚に統合できます。

特定在留カード等を取得するメリット

現行制度では、外国人が入管で在留資格の変更やカード更新を行った後、別途、市区町村でマイナンバーカードの情報を更新する必要があります。

一方で、特定在留カード等を取得すれば:

  • 入管(地方出入国在留管理局)での手続きだけで済む
  • 市区町村の窓口へ行く必要がなくなる
  • 常に最新の情報が反映されたカードを1枚持てる

という利便性が得られます。

なお、取得は義務ではなく任意です。希望しない場合は、新しい様式の在留カード等が交付されます。

対象となる人

  • 住民基本台帳に記録されている中長期在留者
  • 特別永住者

が対象です。

どこで申請できるの?

  • 市区町村の窓口において住居地の届出を行った場合
  • 入管において在留資格に係る申請を行った場合
  • 在留カードに係る届出を行った場合

なお、今回の法改正後も、引き続き、居住地の届出は市区町村の窓口在留資格に係る申請や在留カードに係る届出は入管において手続きすることになります。
特別永住者についても同様です。

カードに記載される情報

特定在留カードの場合

券面に記載される主な情報は以下のとおりです:

  • 氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住所
  • 在留資格、在留期間の満了日
  • 在留カード番号、有効期間の満了日
  • 就労制限の有無
  • 資格外活動許可の有無
  • マイナンバー(裏面に記載)

そのほかの情報はカード内のICチップに記録されます。

特定特別永住者証明書の場合

現行の特別永住者証明書とほぼ同様の内容が記載されますが、「証明書の交付年月日」はICチップ内の記録に変更されます。

※住民票に通称名が記載されていれば、カードの券面にも通称名が記載されます。

有効期限と更新手続き

今回の法改正により、在留カードとマイナンバーカードの有効期間が一致するようになります。
そのため、更新時期も揃い、手続きが一元化されるというメリットがあります。

まとめ

令和6年の制度改正により、在留カードとマイナンバーカードの一体化が可能となりました。
外国人にとっては、手続きの簡素化や生活の利便性向上が期待され、行政にとっても効率的な運用が進みます。

今後、特定在留カード等の交付を希望するかどうかは任意ですが、日常生活や各種手続きをスムーズに行いたい方にとっては、有力な選択肢となるでしょう。
制度の詳しい内容や申請方法などについては、今後の施行に合わせて確認していくことが大切です。