ビザの免除制度と知っておきたいIC旅券の仕組み

ビザ・在留資格

外国人が日本に入国するためには、原則として「ビザ(査証)」が必要です。ただし、一定の条件を満たす場合にはビザが免除されることもあります
この記事では、ビザとは何か、申請手続きの流れ、ビザ免除の仕組み、さらにIC旅券(パスポート)に関する基本的な情報について、制度の概要を分かりやすく解説します。

ビザとビザ免除

ビザ(査証)とは、日本の在外公館(大使館領事部、総領事館)の領事が、日本に渡航しようとする外国人について、旅券や渡航目的等を審査した結果、その人物の日本への上陸に問題がないことを確認した旨を、旅券上に表示するものです。かつては査証印が押されていましたが、現在は査証シールが貼付されます。

ビザは渡航目的に応じて、「外交」「公用」「就業」「一般」「短期滞在」「通過」「特定」「医療滞在」の8種類があり、渡航目的、査証の有効期間、使用回数が記載されます。
ビザの発給には手数料が必要ですが、渡航目的や国籍によっては手数料が不要な場合や、金額が異なる場合があります。なお、ビザが発給されない場合は、手数料はかかりません。

申請方法

<日本国外の申請人>

  1. 日本へ渡航する計画を立てる
  2. 必要書類を準備する
  3. 居住地最寄りの日本大使館/総領事館等で申請する
  4. 日本大使館/総領事館にて審査を受ける
  5. 審査終了後、旅券を受け取りに行く
  6. 査証発給または不発給の通知
  7. 発給された場合は、3ヶ月以内に日本へ入国する

<日本国内の招へい人>

  1. 外国籍の方を日本に招く計画を立てる
  2. 地方入国管理局へ「在留資格認定証明書」の交付を申請する
  3. 「在留資格認定証明書」を申請人に送付する
  4. (申請人が)居住地最寄りの日本大使館/総領事館で申請する
  5. 以降は、上記「日本国外の申請人」と同様の手順

ビザ免除措置

国際交流促進の観点から、国際約束または日本国政府が通告した外国・地域の国民・住民で、一定の要件を満たす者については、ビザを必要としないと定められています。
免除の対象者は、観光、国際会議、アマチュアスポーツへの参加、知人訪問など、短期間の在留を目的とする場合に限られます。すなわち、日本において収入や報酬を得る活動を行わず、かつ長期間にわたって在留しない場合に限り、ビザが免除されます

アジア欧州
インドネシアアイスランド
シンガポールアイルランド
タイアンドラ
マレーシアイタリア
ブルネイエストニア
韓国オーストリア
台湾オランダ
香港キプロス
マカオギリシャ
北米クロアチア
米国サンマリノ
カナダスイス
中南米スウェーデン
アルゼンチンスペイン
ウルグアイスロバキア
エルサルバドルスロベニア
グアテマラセルビア
コスタリカチェコ
スリナムデンマーク
チリドイツ
ドミニカ共和国ノルウェー
パナマハンガリー
バハマフィンランド
パラグアイフランス
バルバドスブルガリア
ブラジルベルギー
ホンジュラスポーランド
メキシコポルトガル
大洋州北マケドニア
オーストラリアマルタ
ニュージーランドモナコ
中東ラトビア
アラブ首長国連邦リトアニア
イスラエルリヒテンシュタイン
カタールルーマニア
トルコルクセンブルク
アフリカ英国
チュニジア 
モーリシャス 
レソト 
ビザ免除措置国・地域一覧表

IC旅券(パスポート)について

2006年3月20日申請分から、パスポートにはIC(集積回路)チップが搭載されています。このチップには、国籍・氏名・生年月日・旅券番号などの身分事項に加え、申請書に貼られた写真から読み取った顔画像も記録されています。
IC旅券は、パスポートの顔写真が偽変造された場合でも、ICチップに記録された情報との照合によって不正を見破ることが可能です。今後は、ICチップ内の顔画像と旅券提示者の顔を照合できる電子機器が各国の出入国審査場に配備されれば、なりすまし防止にも効果が期待されます。
なお、ICチップには、記録情報が本人に気付かれずに読み取られないよう、安全対策が施されています。

新しいIC旅券

令和7年3月24日申請受理分から、偽造・変造対策を大幅に強化した「2025年旅券」の発給が開始されました。
これまでは都道府県の旅券事務所等で旅券が作成・交付されていましたが、2025年旅券は国立印刷局にて集中的に作成され、都道府県等に配送されたうえで交付されます。
2025年旅券では、顔写真ページがプラスチック基材となり、レーザーで印字・印画される方式が採用されています。
配送の都合上、申請から交付までに従来よりも日数がかかるため、海外旅行の計画がある場合は、1ヶ月前を目安に早めに旅券の申請を行いましょう。

日本のパスポート

パスポートの表紙には、その国の紋章を入れるのが国際慣行ですが、日本には法制上正式に定められた紋章がないため、代わりに、伝統的に日本を象徴する花の一つである菊花を図案化したものが中央に印刷されています。


また、表紙の中央下部には、IC旅券であることを示す世界共通のマークが印刷されています。

まとめ

ビザの取得や免除措置は、渡航の目的や国籍により大きく異なります。また、IC旅券の導入や2025年旅券の開始など、パスポートの制度も年々進化しています。正確な情報を把握し、必要な手続きを早めに準備することが、円滑な渡航や招へいの第一歩です。
今回ご紹介した内容は、制度の基本的な概要です。実際の申請に際しては、最新の情報を外務省や各在外公館のホームページ等でご確認いただくことをおすすめします