この記事では、日本に住んでいる外国人の方が、現在の在留資格を他の資格に変更するときに必要な「在留資格変更許可申請」について説明しています。資格を変える必要がある場合の具体的な例や、申請の流れ、審査で見られるポイント、気をつけることなどを、制度の意味とあわせて紹介します。
在留資格の変更許可申請とは
現在日本に在留している外国人の方が、今持っている在留資格から別の在留資格に変更して引き続き日本に在留したいと希望する場合には、「在留資格の変更許可申請」を行う必要があります。
たとえば、大学に在籍している外国人留学生が卒業後に日本企業へ就職する場合、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などに変更することが求められます。このようなケースでは、出入国在留管理局(以下「入管」)に対して申請を行い、在留資格変更の許可を受ける必要があります。
また、「高度専門職」「特定技能」「技能実習」や「特定活動」といった在留資格において、活動内容を変更する場合も同様に在留資格変更の手続きが必要です。たとえば、「高度専門職」「特定技能」「技能実習」それぞれにおいて、別表第1の2の表に定められた活動のうち、1号から2号へ移行する場合、または同じ号内であっても「イ」から「ロ」など活動の種類を変更する場合が該当します。
「特定活動」の在留資格においても、法務大臣によって出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づき個別に指定された活動内容を変更する際には、在留資格変更の許可が必要となります。

申請手続きについて
在留資格変更の申請は、所定の申請書に加えて、出入国管理法施行規則別表3に掲げられた資料や、その他必要とされる資料を添付して提出することになります。
在留資格の変更は、在留期間の更新とは異なり、在留期間内であればいつでも申請可能ですが、新たな活動は必ず変更許可を受けた後に開始しなければなりませんので、注意が必要です。
法務大臣は、申請者が提出した書類に基づき、「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」に限り、変更を許可します。したがって、単に新たな在留資格の要件を満たしているだけでなく、国内で変更を認めること自体が適切かどうかも判断の対象になります。
具体的な審査では、新たに行おうとしている活動や、身分・地位がどの在留資格に該当するか、あるいは該当しないかといった点に加え、活動の内容が日本の産業や経済、労働の各分野、国民生活に与える影響なども総合的に評価されます。さらに、これまでの在留状況、素行が良好であったか、納税義務の履行状況など、さまざまな事情が審査対象となります。
入管庁では、在留資格の変更および在留期間の更新に関する判断基準を「在留資格の変更・在留期間の更新許可ガイドライン」として、日本語を含む各国語で公表していますので、申請前に一度確認しておくとよいでしょう。このガイドラインの中では、上陸審査基準省令の準用についても記載されており、特に注意が必要です。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイド
1.行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2.法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3.現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4.素行が不良でないこと
5.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6.雇用・労働条件が適正であること
7.納税義務等を履行していること
8.入管法に定める届出等の義務を履行していること
なお、「高度専門職2号」への変更は、「高度専門職1号」の在留者に限って認められており、出入国管理及び難民認定法第20条の2第2項に基づく省令で定められた要件を満たす必要があります。
許可の手続きと注意点
在留資格変更の許可は、旅券に新たな在留資格と在留期間を記載した「在留資格変更許可」の証印を受けることで行われます。中長期在留者には、新しい在留資格と期間が記載された新たな「在留カード」が交付されます。
在留資格変更の許可に際しては、定められた手数料を収入印紙で納付する必要があります。
申請後すぐに許可が下りることはなく、通常、審査に一定の日数を要します。そのため、在留期間の満了が迫ってから申請すると、結果が間に合わない可能性があります。早めに申請しても、繁忙期には審査が長引くこともあります。
このような事態に備えて、在留資格変更許可申請が在留期間満了日までに処分されない場合には、申請者は、次のいずれか早い日まで、引き続き現行の在留資格での在留が認められます。
- 処分結果が出た日
- 在留期間満了日から2か月を経過する日
この間の在留は、法的にも有効な在留とみなされます。
まとめ
在留資格の変更は、単に資格の要件を満たしているだけではなく、日本国内でその変更を行うことが適切かどうかという観点からも審査される重要な手続きです。
提出書類や活動内容、過去の在留状況など、総合的に判断されるため、事前の準備と正確な申請が求められます。
手続きの詳細や基準は、入管庁が公開しているガイドラインを参考にすることをおすすめします。