本記事では、新たな外国人受入れ制度である「特定技能」について、その制度の概要や受入れ分野、政府の方針、技能実習制度との比較などを詳しく解説しています。
外国人材の受入れを検討されている事業者の方や、制度の違いを整理したい方にとって、有益な情報を提供する内容となっています。
制度の概要
1.特定技能1号
この在留資格は、2018年に出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律によって新設されたものです。
「特定技能1号」は、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」であることが在留資格該当性の要件とされています。
具体的には、「相当程度」とあるとおり、「高度専門職」「教授」「技術・人文知識・国際業務」「介護」及び「技能」などの就労を認めた在留資格が前提としてきた専門的・技術分野の技術水準より「やや低い程度の専門性」で、相当期間の実務経験等を有する技能であって、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいうとされています。この意味において、従来のいわゆる就労資格の例外を設けたものということができます。
この特定技能1号による在留者数は、令和7年2月末現在、約293,000人と言われています。
2.特定技能2号
これに対して「特定技能2号」は、「熟練した技能を要する業務に従事する活動」であることを在留資格該当性の要件としています。
すなわち、「高度専門職」「教授」「技術・人文知識・国際業務」「介護」及び「技能」などの就労資格を有する外国人と同等以上の高い専門性・技能を遂行できるか、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準であることが要件となっており、従来の就労資格との連続性を維持したものです。
特定技能2号による在留者数は、令和7年2月末現在、約1,350人です。

特定産業分野(16分野)
介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船、舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業
※太字は特定技能1号・2号で受入れ可。それ以外は特定技能1号のみ受入れ可。
外国人労働者の受入れに関する政府方針
1.専門的・技術的分野の外国人
積極的に受入れ
・日本の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的・技術的分野の外国人労働者の受入れをより積極的に推進。
・出入国在留管理基本計画では、日本の経済社会の活性化に資する専門的・技術的分野の外国人については、積極的に受け入れていく必要があり、引き続き、在留資格の決定に係る運用の明確化や手続負担の軽減により、円滑な受入れを図っていく。
2.上記以外の分野の外国人
様々な検討を要する
・日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすこと等から、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重な対応。
・専門的・技術的分野とは評価されない分野の外国人の受入れについては、ニーズの把握や受入れが与える経済的効果の検証、教育・社会保障等の社会的コスト、労働条件など雇用全体に及ぼす影響、日本人労働者の確保のための努力の状況、受入れによる産業構造への影響、受入れる場合の適切な仕組み、受入れに伴う環境整備、治安など、幅広い観点からの検討が必須であり、この検討は国民的コンセンサスを踏まえつつ行われなければならない。
技能実習と特定技能の制度比較
| 技能実習(団体監理型) | 特定技能(1号) | |
| 関係法令 | 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する 法律/出入国管理及び難民認定法 | 出入国管理及び難民認定法 |
| 在留資格 | 在留資格「技能実習」 | 在留資格「特定技能」 |
| 在留期間 | 技能実習1号:1年以内、技能実習2号:2年以内、 技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) | 通算5年 |
| 外国人の技能水準 | なし | 相当程度の知識又は経験が必要 |
| 入国時の試験 | なし(介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) | 技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 (技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
| 送出機関 | 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 | なし |
| 監理団体 | あり (非営利の事業協同sの他の監理事 業を行う。主務大臣による許可制) | なし |
| 支援機関 | なし | あり (個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居 の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁長官による登録制) |
| 外国人と受入れ機 関のマッチング | 通常監理団体と送出機関を通して行われる | 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を 通じて採用することが可能 |
| 受入れ機関の 人数枠 | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり | 人数枠なし(介護分野、建設分野を除く) |
| 活動内容 | 技能実習計画に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従 事する活動(1号) 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号、 3号) (非専門的・技術的分野) | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 (専門的・技術的分野) |
| 転籍・転職 | 原則不可。ただし、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、2号か ら3号への移行時は転籍可能 | 同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されてい る業務区分間において転職可能 |
まとめ
「特定技能制度」は、在留資格制度の一つであり、一定の技能や日本語能力を有する外国人の就労を認める仕組みです。
「特定技能1号」は、相当程度の知識・経験を必要とする業務に従事する外国人を対象とし、「2号」は、より高度な技能を持つ人材に対して与えられるものです。
受入れ可能な産業分野は限定されており、制度上の要件や支援体制、外国人と受入れ機関とのマッチング方法など、多くの点で従来の技能実習制度とは異なっています。
今後も専門的・技術的分野における外国人受入れは積極的に進められる一方で、それ以外の分野については慎重な検討が求められており、制度の運用と社会的受容の両面からの整備が重要となります。


