再入国許可の基礎知識 手続き・注意点・みなし再入国許可との違い

ビザ・在留資格

本記事では、日本に在留する外国人が一時的に出国する際に必要な「再入国許可」について、その仕組みや手続き、注意点をわかりやすく解説しています。みなし再入国許可との違いや、有効期間の延長制度についても触れています。

再入国許可とは

日本に在留している外国人(特別永住者を含む)が、商用、視察、親族訪問、観光、留学などの目的で一時的に出国する場合、出国と同時に在留資格や在留期間、または特別永住者としての法的地位が消滅してしまいます。これらを回復せずに再び日本へ入国するためには、本来であれば新たに査証(ビザ)を取得する必要があります。しかし、査証の取得には手続きや時間がかかりますし、特に「永住者」や「特別永住者」に該当する査証は存在しません。

このような不利益を避けるため、出国前に再入国の許可を得ておく制度があります。出国の際に再入国の予定があることをあらかじめ地方出入国在留管理局に申請し、許可を受けておけば、再入国時に査証がなくても上陸が認められ、もとの在留資格や在留期間、法的地位で再び日本に滞在できます。なお、出国中も在留期間は進行します

許可の内容

再入国許可の有効期間は、最大で5年の範囲内、かつ、現在の在留期間の満了日までとされています。ただし、特別永住者に関しては、6年を上限とする特例があります(入管特例法23条1項)。

許可の手続き

再入国許可は、申請人の旅券に「再入国許可」のスタンプを押す形で行われます。ただし、国籍を有しない者や有効な旅券を持っていない場合には、「再入国許可書」が交付されます。この再入国許可書は、日本入国の際に旅券と同様に扱われ、多くの国でも旅券に準ずる文書として認められています。

再入国許可には、1回限りの再入国許可と複数回使用可能な数次再入国許可があります。それぞれ手数料は収入印紙で支払います。

国外での有効期間の延長

再入国許可を得て出国したものの、やむを得ない事情で有効期間内に再入国できない場合は、日本の在外公館で延長申請をすることができます。延長後の有効期間は、在留資格を持つ者は1年以内かつ許可日から6年以内、特別永住者は7年以内とされています。ただし、「特別永住者」「永住者」「高度専門職2号」「外交」を除く在留資格の者については、延長しても在留期間の満了日を超えることはできません
手数料は、外交・公用の在留資格を除き、各国の外務省令により定められた金額となります。

上陸手続きについて

再入国許可を使って日本に再入国する際も、原則として指紋と顔写真の提供が求められます。これを拒否すると上陸は認められません。ただし、16歳未満の方や「外交」「公用」の在留資格を持つ方、特別永住者などはこの義務の対象外です。
また、法務大臣は一定の場合に限り、上陸拒否事由に該当していても、特例的に上陸を許可できるとされています。
上陸時に旅券に押される「再入国許可による上陸許可」の証印には、「(再)」という文字と上陸日時、港の名称が記載されますが、在留資格や期間の記載はありません。なお、自動化ゲートを使用して入国する際は、希望しない限り証印は押されません。

自動化ゲート

海外出張や海外旅行の際、空港の出入国審査場が混み合っていることがあります。このような場合、「自動化ゲート」をご利用いただけばスムーズに出入(帰)国の手続を行うことができます。

 自動化ゲートは、パスポートと指紋の照合により本人確認を行い、自動的に出入(帰)国手続を行うことができるシステムです。
 使い方はディスプレイの表示に従って簡単な操作をするだけです。利用登録はフライトの当日に空港ですぐできます。

https://www.moj.go.jp/isa/immigration/resources/nyuukokukanri01_00111.html

みなし再入国許可制度

次の要件を満たす場合、あらかじめ許可を受けなくても「再入国許可を受けたもの」とみなされます。

  • 日本に在留資格をもって在留する外国人で、有効な旅券を所持するもの。
  • 特別永住者で有効な旅券及び特別永住者証明書を所持するもの。

この制度を利用するには、出国時に入国審査官に「再び日本に入国する意思がある」ことを表明する必要があります。
有効期間は、在留資格を持つ外国人は出国日から1年(ただし在留期間が1年未満の場合はその満了日まで)、特別永住者は出国日から2年です。

出国中の法的地位について

再入国許可を得て出国した外国人の在留資格・在留期間などの法的地位は、その許可の有効期間内にある限り、出国中も消滅せずに継続するものの、その期間内に再入国しなければ、期間の経過時点で資格や地位は失われると解されています

まとめ

外国人が一時的に日本を離れる場合、再入国許可を受けておくことで、出国前と同じ在留資格のまま日本に戻ることができます。再入国の予定がある場合は、制度を正しく理解し、必要な手続きを忘れずに行うことが大切です