「目的が変わった!」ライフプランに合わせた在留資格変更の手引き

ビザ・在留資格

日本でのライフプランが変わると、在留資格を変更する必要が出てくることがあります。たとえば、留学生として日本に滞在していた方が卒業後に企業へ就職する場合は、就労に適した在留資格へ切り替える手続きが必要です。このように、在留目的が変わるときには、適切な手続きを行うことが求められます
本記事では、在留資格変更の流れや審査で重視されるポイントについて、わかりやすく解説します。

在留資格変更とは

現在、すでに日本に在留している外国人が在留目的を変更し、新しい在留資格に該当する活動を行うために必要な申請です。この手続きにより、日本に在留している外国人は、いったん出国することなく別の在留資格が得られるよう申請することができます。
在留資格の変更を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続にしたがって法務大臣に対し在留資格の変更許可申請をしなければなりません。

申請手続き

●申請期間
  在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前

●申請提出者
  1.申請人本人(日本での在留を希望している外国人本人)
 2.代理人(申請人本人の法定代理人)
 3.取次者

●標準処理期間
 2週間~1ヶ月

在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン

在留資格の変更及び在留期間の更新は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)により、法務大臣が適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することとされており、この「相当の理由」があるか否かの判断は、専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられ、申請者の行おうとする活動在留の状況在留の必要性等を総合的に勘案して行っているところ、この判断に当たっては、以下のような事項が考慮されます。

1.在留資格該当性
・・・申請人である外国人が行おうとする活動が、入管法別表第一に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる活動、入管法別表第二に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。

2.上陸許可基準の適合性
・・・法務省令で定める上陸許可基準は、外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準ですが、入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者については、在留資格変更及び在留期間更新に当たっても、原則として上陸許可基準に適合していることが求められます。

また、在留資格「特定活動」については、「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(特定活動告示)に該当するとして、在留資格「定住者」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(定住者告示)に該当するとして、上陸を許可され在留している場合は、原則として引き続き同告示に定める要件に該当することを要します。

ただし、申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件については、年齢を重ねたり、扶養を受ける状況が消滅する等、我が国入国後の事情の変更により、適合しなくなることがありますが、このことにより直ちに在留期間更新が不許可となるものではありません。

3.現行の在留資格に基づく活動履歴
・・・申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。例えば、失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。

4.素行不良でないこと
・・・素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価され、具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。

5.安定した生計能力を有すること
・・・申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります)が求められますが、仮に公共の負担となっている場合であっても、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断することとなります。

6.適正な雇用・労働条件
・・・我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断することになります。

7.納税義務の履行
・・・納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。

なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱います。また、国民健康保険料など、法令によって納付することとされているものについて、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱います。

8.入管法に基づく届出義務の履行
・・・入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は、入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。

「留学」から「就労」資格への変更手続きの流れ
(4月入社の場合)

健康保険証の提示について

社会保険への加入の促進を図るため、2010年4月1日より、申請時に健康保険証の提示が求められています。ただし、2024年からの健康保険証の廃止に伴い、マイナポータル画面の提示等も可能となりました。なお、健康保険証の提示がないことを理由に不許可とはなりません。

中長期在留者の範囲

日本に中長期間在留する外国人で、次のいずれにも該当しない人をいいます。

≪中長期在留者の範囲≫                      
  • 「3月」以下の在留期間が決定された人
  • 「短期滞在」の在留資格が決定された人
  • 「外交」又は「公用」の在留期間が決定された人
  • 上記の外国人に準じるものとして法務省令で定める人
  • 特別永住者

在留資格変更の申請は、各要件を満たしていることが重要です。不明な点があれば、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

在留資格変更許可申請とは、日本に在留する外国人が在留目的を変更し、新しい在留資格を取得するための手続きです。申請には適切な理由が必要であり、法務大臣の判断によって許可されます。審査では、新しい在留資格への適合性、現行の在留状況、素行、安定した生活基盤、納税状況などが考慮されます。申請期間や必要書類を確認し、適切な手続きを行うことが重要です。詳細は専門家に相談することをおすすめします。