ビザ(査証)と在留資格の違いを基礎から解説

ビザ・在留資格

ビザ(査証)は、日本への入国を外務省などが認める推薦の役割を果たし、上陸審査後にその役目を終えます。一方、在留資格は日本で行える活動を定めた資格で、法務省が付与します。特定技能は新しい在留資格で、「1号」と「2号」に分かれます。特定技能1号は5年間の在留が可能で、技能や日本語能力の試験を必要とし、受入れ機関のサポートが義務付けられています。この記事では、ビザや在留資格制度の基本的な仕組みと特定技能の詳細を理解するための情報を提供します。

ビザ(査証)と在留資格の違い

ビザ(査証)は、日本に入国を希望する外国人の旅券(パスポート)が真正かつ有効であることを外務省や在外公館が確認し、それぞれの条件の下で、その外国人の日本への入国(滞在)が適当であることを推薦するものです。このため、ビザの役割は、上陸審査を通過すれば終了します。


これに対して、在留資格は、外国人が日本で行える活動内容を類型化したもので、法務省(出入国在留管理庁)が上陸審査や許可の際に付与する資格です。一般的に「在留資格」が誤って「ビザ」と呼ばれることがありますが、両者は全く異なるものです。
また、「特定技能」は新しく創設された在留資格の一種で、「1号」と「2号」があります。

特定技能の特徴

特定技能以外にも日本国内で就労可能な在留資格にはいくつか種類がありますが、それぞれ在留期間や活動内容、求められる要件が異なります。例えば、特定技能1号には次のような特徴があります。

  • 在留期間は通算で上限5年まで。
  • 受入れ機関または登録支援機関による一連のサポートが義務付けられている。
  • 技能と日本語能力を試験で確認する必要がある。

技能実習制度との違いとして、技能実習は現場での実習を通じて日本の様々な技術を習得し、帰国後に母国で活用する国際貢献を目的とする一方、特定技能は即戦力としての外国人労働者を受け入れ、人材不足への対応を目的としています


なお、特定技能1号の場合は、技能実習2号を良好に修了した方が、試験を受けずに在留資格を変更できるルートもあります。

特定技能
特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
在留期間1号:通算で上限5年まで 2号:更新の上限なし
技能水準1号:試験等で確認(技能実習2号修了者は試験等免除) 2号:試験等で確認
日本語能力水準1号:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号修了者は試験等免除) 2号:試験等での確認は不要
家族の帯同1号:基本的に認めない 2号:要件を満たせば可能(配偶者、子)
1号は受入れ企業又は支援機関による支援の対象

16の特定産業分野と従事可能な業務

特定技能によって具体的に従事できる業務は、16の特定産業分野ごとに次のとおり定められています。なお、「介護」「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」分野はSSW(特定技能)1号のみです。

厚生労働省所管介護身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)※訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング建築物内部の清掃
経済産業省所管工業製品製造業機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、紙器、段ボール箱製造、コンクリート製品製造、RPF製造、陶磁器製品製造、印刷・製本、紡織製品製造、縫製
国土交通省所管建設土木、建築、ライフライン・設備
造船・舶用工業造船、舶用機械、舶用電気電子機器
自動車整備自動車の日常点検整備、定期点検整備、特定整備、特定整備に付随する基礎的な業務
航空空港グランドハンドリング(地上走行支援業務、手荷物・貨物取扱業務等)、航空機整備(機体、装備品等の整備業務等)
宿泊フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の宿泊サービスの提供
自動車運送業トラック運転者、タクシー運転者、バス運転者
鉄道軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員(駅係員、車掌、運転士)
農林水産省所管農業耕種農業全般(栽培管理、農作物の集出荷・選別等)、畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
漁業漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)、養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理・収穫・処理、安全衛生の確保等)
飲食料品製造業飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工、安全衛生)
外食業外食業全般(飲食物調理、接客、店舗管理)
林業林業(育林、素材生産等)
木材産業製材業、合板製造業等に係る木材の加工等

まとめ

ビザは日本への入国を許可するための外務省の推薦書のような役割であり、上陸審査が終わればその役割を果たします。一方、在留資格は日本で行える活動を法務省が定める資格であり、ビザとは性質が異なるものです。
また、特定技能は、新設された在留資格で、即戦力として外国人労働者を受け入れることを目的としています。特定技能によって就労可能な業務は16の特定産業分野に限定され、それぞれの業務内容については規定があります