外国人留学生の採用や定着を支援するために、文部科学省など関係省庁が連携して、企業向けの実践的なハンドブックを策定しました。
採用前から入社後までを見据えた12のチェック項目を通じて、企業の共生社会への取り組みが広がりを見せています。
留学生の就職希望と企業の対応
日本で学び、卒業後も日本で働きたいと希望する外国人留学生が増えています。こうした動きに対応し、政府や関係省庁では、外国人留学生の採用と職場での活躍を支援する取り組みを進めています。
そのひとつが、文部科学省・厚生労働省・経済産業省が共同で策定した「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」です。このハンドブックでは、企業が採用活動や就業支援を行ううえで押さえておきたい12のチェック項目が整理されています。
ハンドブックでは、外国人留学生の日本語力や専門性の多様性をふまえた就職機会の創出と、定着・活躍に向けて企業が直面しやすい課題が明らかにされています。
また、示されている12のチェック項目の多くは、外国人材だけでなく日本人社員にも共通する内容です。企業の実情に応じてできるところから取り組み、改善を重ねていくことで、多様な人材がいきいきと働ける職場づくりにつながることが期待されています。
本記事では、このハンドブックの概要や12の具体的な視点について紹介します。多様な人材が共に働き、成長できる環境づくりを考えるきっかけとして、ぜひご活用ください。
外国人留学生の採用・活躍に向けた12のチェック項目
【採用前】
1.外国人材の採用目的や期待する役割が具体化されているか。
2.外国人材の採用方針が経営者、人事、現場社員を含めて社内で共有されているか。
3.外国人材の採用方針や採用実績が公表・発信されているか。
4.留学生向けの説明会やインターンシップ等を通じ、企業と外国人材の双方が理解する機会が設けられているか。
【採用選考~入社前】
5.選考時点での日本語能力にこだわらず、業務で求められる多様な日本語能力のレベルや専門性に応じて、個人の能力やスキルを判断する採用選考が行われているか。
6.入社前の期間から住宅手配等の生活支援や業務上必要なスキル向上のための支援があるか。
7.外国人社員のマネジメントを行う日本人社員に対して、職場における外国人社員との効果的なコミュニケーションのための学びの機会があるか。
【入社後】
8.配属先の決定の際、キャリア展望を踏まえた十分な説明が行われているか。
9.上司、先輩社員などからの日々の声掛けや、社内外での交流機会の提供が行われているか。
10.キャリア展望に応じた、従来の雇用慣行にとらわれない仕事の機会の提供や学びの支援が行われているか。
11.客観的な評価や処遇に基づき、十分な説明が行われているか。
12.外国人社員の母国文化・宗教など多様性を考慮し、休暇制度など社内制度の見直しが行われているか。
12のチェック項目ごとに、その必要性や具体的な取組み、それらを実践することによって期待される効果などについて、企業での実践例とともに解説されています。
それぞれの項目に示された内容について理解を深め、企業での取組みにつなげましょう。
活用ガイドはこちら
■外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/ryugakusei_katsuyaku_pt/pdf/20200228_01.pdf
~実線企業に学ぶ12の秘訣~
■外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けて関係機関が取り組むべきアクション
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/ryugakusei_katsuyaku_pt/pdf/20200228_02.pdf
まとめ
外国人留学生の採用と定着を図るには、企業がその多様性を理解し、柔軟な視点で環境づくりを進めることが大切です。今回紹介した12のチェック項目は、外国人材に限らず、すべての社員にとって働きやすい職場を考える上でも参考になる内容です。
企業が実情に応じてできるところから取り組みを始め、PDCAサイクルをまわしながら改善を続けていくことが、真の「多様性を活かす組織」への第一歩となります。
留学生の多様な力を活かすことは、企業の成長や新たな価値の創出にもつながる重要な取り組みです。支援ツールをうまく活用しながら、共に成長できる関係づくりを目指してみませんか。


