建設廃棄物の3R(計画時)

産廃業

工事に伴い発生する廃棄物は、元請業者が適正に処理する責任を負っています。工事計画の段階から、廃棄物を可能な限り出さない方法を検討し、発生した廃棄物については再使用やリサイクルを推進するなど、計画的に3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進めることが求められます。また、廃棄物処理については、廃棄物処理法を遵守し、適切に対応する必要があります。事業活動に伴い発生する産業廃棄物の適正処理やリサイクルは、排出事業者の責務です。建設工事における排出事業者は元請業者です。排出事業者が産業廃棄物の収集運搬や処分(中間処理または最終処分)を委託する場合には、適切な業者選定、確実な契約締結、そして適正な運用・管理が必要不可欠です。この記事では建設工事に伴い発生する廃棄物の適正処理とリサイクルに関する元請業者の責任や具体的な対応方法について解説しています。

予測する

工事に伴い発生する廃棄物の種類や量を事前に予測し、適切な3R(リデュース、リユース、リサイクル)の方法を検討します。

Reduce:出さない工夫

・持ち込まない・・・あらかじめ使用する寸法で納入(プレカット)
・余らせない・・・材料などの正確な数量
・省梱包により梱包材を削減

Reuse:再使用する工夫

・型枠材やパレットの転用使用など再使用できないかを検討

Recycle:再利用する工夫

・リサイクルできるものは分別して、現場内で再利用またはリサイクル施設へ搬入することを検討

リサイクルが可能な主な廃棄物

リサイクル可能なもの主なリサイクル用途
木くずパーチクルボード等の木質系ボード、製紙原料、燃料用チップ、セメント原料、エタノール燃料
金属くず鉄、非鉄金属製品の再生
コンクリート再生砕石、再生砂、再生コンクリート用骨材
石膏ボード石膏ボード原料、土壌改良材
塩ビ管・継手塩ビ管・継手の再生原料
廃プラスチック高炉還元剤、セメント原料、RPF原料
ダンボール・紙くずダンボール原料、RPF原料

※その他、建材メーカー等が廃棄物となった自社製品を再生資源として自社工場等で再生利用する「広域認定制度」が利用できるものがある。

処理する

外部へ処理を委託する場合は、廃棄物の最終処分までの流れを確認する必要があります。現場から搬出しただけでは処理が完了したとは言えません。最終処分まで適切に管理されているかをきちんと確認することが重要です。

また、自社で処理を行う(自己処理する)場合は、産業廃棄物の種類や処分方法に応じた処理基準を遵守しなければなりません。例えば、解体工事で発生した廃棄物を解体業者が自社の車両で運搬する場合には、その運搬車両が産業廃棄物の運搬車両であることを表示する必要があります。

処理業者の選定と取引

許可のない者に処理を委託することはできません
・運搬業者:作業所がある都道府県と異なる都道府県に運搬する時は、作業所と運搬先両方の都道府県の許可が必要です。
・処分業者:適切な施設であることを現地で確認することも重要です(処理能力、保管場所、管理状況、埋立残容量等)

委託契約書を締結しなければなりません
・契約は、工事の元請業者が直接、収集・運搬業者および処分業者と行う。
・契約書には、処理業者の許可証のコピーを添付しなければならない。

処理業者は、受託した収集・運搬等を自分で行わなければなりません
・やむを得ず、他の処理業者に再委託しなければならないときは、排出事業者の書面での承認が必要です。

産業廃棄物処理業優良性評価制度

この制度は、排出事業者が優良な産業廃棄物処理業者を選択しやすくするとともに、
優良業者に対しては優遇措置を講じることで、優良化の促進を図ることを目的に
H17.4.1に施工されました。
「遵法性」「情報公開」「環境保全への取組」の3本柱を評価基準とし、「情報公開」は
会社情報、許可内容、施設・処理の状況、経営財務等をインターネットで開示するものです。
産廃情報ネットでは、適合認定を目指す各社の公開情報を見ることができます。

https://www2.sanpainet.or.jp/

まとめ

工事に伴う廃棄物の適正処理では、まず、廃棄物の種類や量を事前に予測し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を計画的に進めることが求められます。外部委託の場合には、廃棄物の最終処分までの流れを確認し、自社で処理する場合には、処理基準を遵守することが重要です。また、委託契約においては、適切な業者選定や契約内容の明確化、運用・管理の徹底が必要であり、「産廃情報ネット」などの情報を活用して責任を持って対応することが求められます。