建設廃棄物の3R(施行中・工事完了時)

産廃業

建設廃棄物のリサイクルと適正処理には、分別が重要です。工事計画で決めたリサイクル対象物と処分する廃棄物をそれぞれ集め、混合しないよう、分別品目ごとに保管場所(分別容器)を設置し、基準に従って適切に保管します。また、工事完了時には、記録や帳票の保存行政等への報告・届出が必要な場合があるため、十分に確認することが求められます。この記事では、建設廃棄物のリサイクルと適正処理のための分別方法とその重要性について解説しています。

保管場所の基準

廃棄物が排出されるまで、以下の保管基準に従い、生活環境に支障がないように保管しなければなりません。

  • 囲いの設置
  • 掲示板の設置(廃棄物の種類、管理者の氏名または名称、管理者の連絡先、最大保管高の表示)
  • 飛散、流出、地下浸透、悪臭の防止
  • ねずみ、蚊、ハエ、害虫の発生防止

分別廃棄物の表示

保管容器等には、作業員が分かりやすいように分別表示を行い、他の廃棄物と混合したり異物が混入したりしないよう配慮することも大切です。

分別ステッカーの例

委託契約書・マニフェストの保管義務

委託契約書とマニフェストは5年間保存する義務があります。保存方法を本社や支店・営業所できちんと決めておき、委託契約書には処理業者の許可証の写しを添付することを確認します。マニフェストは、A票、B2票、D票、E票が揃っていることを確認する必要があります。

マニフェスト

廃棄物の運搬や処分を他人に委託した場合、委託した廃棄物と同時に、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、定められた事項を記載することが義務付けられています。
マニフェストは、産業廃棄物の流れ(移動や処理の状況)を管理し、社会問題になっている不法投棄等の不適正処理の防止を目的としています。
マニフェスト未交付や記載の不備等、運用が適切でない場合には、不法投棄の原状回復措置命令を受ける対象となり得ます。

完了報告

建設リサイクル法の届出対象工事では、元請業者が再資源化が完了したことを発注者に報告し、再資源化の記録を保存しなければなりません。報告内容は、再資源化等の完了年月日再資源化を行った施設名と所在地再資源化に要した費用です。
また、都道府県知事への報告が必要な場合もあります。報告は通常、支店等の事業所単位で行いますが、都道府県によっては条例や要綱等で工事ごとの廃棄物処理実績報告を求めることがあるため、確認が必要です。

主な罰則
法違反となる行為罰則
●許可のない者に収集運搬や処分の委託をしたとき
●廃棄物を不法投棄したとき
●基準に従わないで焼却したとき
5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれの併科*
●委託基準に違反して収集運搬や処分の委託をしたとき
●不法投棄や不法焼却の目的で廃棄物の収集運搬を行ったとき
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれの併科*
●マニフェストを交付しないとき
●虚偽の記載をしたとき
●マニフェストを保存しなかったとき(5年間の保存義務)
6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金*
●廃石綿等の特別管理産業廃棄物が発生する場合に特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなかったとき30万円以下の罰金

*作業員が業務上で法違反をした場合は、違反をした行為者のほか、法人が罰せられる(両罰規定:最大1億円以下の罰金)。

廃棄物処理法違反は絶対にやめましょう

■許可のない下請事業者が運搬していませんか?
■許可業者に書面で契約せずに委託していませんか?
■産業廃棄物を野焼きしたり、みだりに捨てていませんか?
■マニフェストを正しく記入して、交付していますか?

まとめ

この記事では、廃棄物の適正な保管と処理について説明しました。廃棄物は、保管場所の囲いや掲示板設置、飛散や臭いの防止、害虫の発生防止などの基準に従って管理しなければなりません。また、分別をしっかり行い、他の廃棄物と混合しないよう配慮が必要です。産業廃棄物の処理で不明なことがあれば、都道府県の産業廃棄物担当部署へ問合せをし、適切に処理しましょう。