建設廃棄物の3R(工事前)

産廃業

工事に伴い発生する廃棄物の処理は、発注者から工事を請け負った元請業者が適切に行う責任があります。産業廃棄物処理の許可を持たない下請業者に処理を任せることはできません。計画的に3Rを推進し、廃棄物を処分する際は「廃棄物処理法」に基づいて適切に処理しましょう。この記事では、工事に関連して発生する廃棄物の処理に関する責任と適正な手続きを解説します。

工事前の確認

工事の規模や内容によっては、工事に着手する前に行政への届出や事前の措置が必要な場合があります。特に解体工事や改修工事の場合は、事前調査を確実に行うことが重要です。

届出が必要な工事の種類と工事規模

建築物の解体工事80㎡以上
新築・増築工事500㎡以上
修繕・模様替工事請負金額1億円以上
その他の工作物の工事請負金額500万円以上

一定規模以上の工事については、建設リサイクル法に基づき、都道府県知事等への解体等の計画届が必要です。この届出者は発注者です。また、施工業者は分別解体や再資源化の方法について、事前に書面で発注者に説明しなければなりません。

●分別解体や再資源化が義務付けられている廃棄物:コンクリート塊・アスファルトコンクリート塊・木くず

石綿(アスベスト)調査

解体工事や改修工事では、吹付け石綿や石綿を含む建材の有無を事前に調査し、発見された場合には適切に対応する義務があります。石綿は人体に有害な物質であるため、飛散防止に十分注意しながら対応する必要があります。また、吹付け石綿や石綿を含有する建材の除去工事を行う際には、大気汚染防止法労働安全衛生法石綿障害予防規則等の法令を遵守することが求められます。

石綿を含む建材等が廃棄物になった場合の種類
吹付け石綿、石綿含有保温材・耐火被覆材・断熱材特別管理産業廃棄物
石綿スレート、石綿含有Pタイル等の建築材料石綿含有産業廃棄物
(重量の0.1%を超えて石綿を含有するもの)

PCBやフロンなどの有害物質が存在する場合、工事業者は発注者に適切な処置を申し出ます。特にPCBを含むトランスやコンデンサなどの電気機器類は工事業者が処理することはできません。冷凍空調設備のフロン類についても、発注者が処理義務を負います。

建物以外の廃棄物

建物以外の廃棄物には、家電製品や家具、衣類などがあります。これらの処分は施工前に発注者に依頼します。特にブラウン管テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機は家電リサイクル法に基づいて適切に処理する必要があります。それ以外の建設工事から発生する廃棄物についても、法令を遵守しながら適切に対応します。

分類具体例石綿を含有するもの
安定型産業廃棄物がれき類工作物の新築、改築又は除去に従って生じたコンクリートの破片、その他これに類する不要物。 ①コンクリート破片 ②アスファルト・コンクリート破片 ③その他がれき類石綿含有スレート波板・太平板等
ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずガラスくず、タイル衛生陶磁器くず、タイルくず、耐火レンガくず、コンクリートくず(工作物の新築・改築又は除去に伴って生じたものを除く)
廃プラスチック類パッキンくず、コーキングくず、廃ビニールパイプ、廃タイヤ、廃ビニールテープ、廃ビニールシート、廃発泡スチロール、合成ゴムくず石綿含有Pタイル
金属くず鉄骨鉄筋くず、金属加工くず、ボルト類、番線くず、電線、スチールサッシ、アルミサッシ、メタルフォーム 
管理型産業廃棄物汚泥含水率が高く粒子の微細な泥状の掘削物。標準仕様ダンプトラックに山積みできず、又、その上を人が歩けない状態のもの。具体的には、場所打杭工法、泥水シールド工法等で生ずる廃泥水(地山掘削により発生するものは汚泥ではない)。 
木くず木造解体材、型枠、足場材、内装、建具工事等の残材、抜根、伐採材等 
紙くず包装材、ダンボール、壁紙くず等 
繊維くず廃ウエス、縄、ロープ類、畳、じゅうたん、カーペット等 
廃油重機等の廃潤滑油、防水アスファルト、アスファルト乳剤等の使用残渣 
その他廃石膏ボード、有機性のものが付着混入したプラスチックや金属性の廃容器・包装 
特別管理産業廃棄物廃石綿等石綿建材除去事業により除去された吹付け石綿、石綿保温材、珪藻土保温材、パーライト保温材。石綿含有保温材、断熱材及び耐火被覆材。 石綿建材除去事業において用いられたプラスチックシート、粉塵マスク、作業衣その他の用具又は器具で石綿が付着しているおそれのあるもの。 
廃油引火性廃油(揮発油類、軽油類:おおむね引火点が70℃以下) 
一般廃棄物その他産業廃棄物以外の廃棄物(設計図面、新聞、雑誌、生ごみ、畳、日用雑貨品、寝具等) 

まとめ

工事を行う際には、規模や内容に応じて事前に行政への届出や措置が必要な場合があります。特に解体工事改修工事では、事前調査が重要です。また、廃棄物については「廃棄物処理法」に基づき適切に処理し、3Rを計画的に推進しましょう。