私たちの暮らしに欠かせない家電製品。しかし、廃棄の際には環境負荷を抑えるための適切な対応が求められます。家電リサイクル法は、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の「家電4品目」について、適正なリサイクルを義務付けることで環境保全に寄与しています。不法な回収や処理は、有害物質の飛散や環境汚染を引き起こす原因となるため、法令を遵守し、環境への配慮を徹底することが重要です。この記事では、家庭や事業所から排出される家電4品目の適切な廃棄方法について、分かりやすく解説します。
家電リサイクル法について
家電リサイクル法(正式名称:特定家庭用機器再商品化法)は、廃棄された家電製品を適正にリサイクルし、環境負荷を軽減するための法律です。対象となる家電4品目は以下の通りです。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管式、液晶・プラズマ式、有機EL)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
廃棄方法を守らず、不法に回収された家電が不適切に保管・処理されると、有害物質の飛散やフロンガスの放出を引き起こし、環境汚染や生活環境への悪影響をもたらします。
家電4品目の適正な廃棄方法
一般家庭の場合
一般家庭から排出する際は、以下の方法が認められています:
- 購入した販売店に引取りを依頼
・購入時の販売店や同等の規模の販売店が引き取ります。 - 自分でメーカー指定の引取場所に持ち込む
・メーカーが指定した引取場所に直接搬入します。 - 市町村や許可を受けた業者に運搬を依頼
・市町村、または一般廃棄物収集運搬業者に搬入を代行してもらいます。
事業所の場合
事業所で使用している家庭用家電製品(賃貸物件やリース品を含む)も家電リサイクル法の対象です。以下の手順に従って廃棄します。
- 販売店に引取りを依頼
- 自分でメーカー指定の引取場所に持ち込む
- 許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に運搬を依頼
※廃棄には原則として、「リサイクル料金」と「収集運搬料金」が必要です。
家電リサイクル法の対象?
使っていた場所 | 製品のタイプ | |
家庭用の機器 | 業務用の機器 | |
家庭で使用していた製品 (一般廃棄物) | ○対象 | ✕対象外 |
事業所で使用していた製品 (産業廃棄物) | ○対象 | ✕対象外 |
産業廃棄物収集運搬許可業者に委託し、指定引取場所への運搬を行い、製造業者等に引き渡す場合
産業廃棄物収集運搬許可業者に委託し、指定引取場所への運搬を行い、製造業者等に引き渡す場合、指定引取場所までの運搬には産業廃棄物のマニフェストが必要です。この場合、産業廃棄物のマニフェストが必要となるのは、指定引取場所までの収集運搬のみであることから、直行用(7枚綴)のマニフェストの場合、A票、B1票・B2票のみを使用します。したがって、指定引取場所やリサイクルプラントから写しの送付を受ける必要はありません。
事業所の解体⼯事に際して家電4品⽬を排出(廃棄)する場合
事業所の解体⼯事に際して家電4品⽬を排出(廃棄)する場合は、所有者等において適切に廃棄してください。建築物の解体工事の際、当該建築物の所有者等が残した廃家電は、解体工事の元請業者ではなく、当該建築物の所有者等に処理責任があります。このため、所有者等は、排出者として適切に処理していただく必要があります。 解体予定の建築物に家庭用エアコンなどの家電製品がある場合は、解体工事前に、所有者等により適切に廃棄してください。
産業廃棄物のマニフェストについて
排出事業者が排出する廃家電4品目について、家電リサイクル法に基づき、引取義務のある小売業者(小売業者の委託先の事業者を含む。)に引き渡す場合は、産業廃棄物のマニフェストは不要です(家電リサイクル券の排出者控を受け取ってください)。
また、排出事業者が、排出する廃家電4品目を指定引取場所に自ら運搬して引き渡す場合も、産業廃棄物のマニフェストは不要です(引渡しのために、家電リサイクル券は必要です)
一方、排出事業者が、産業廃棄物収集運搬許可業者に委託して、廃家電4品目を指定引取場所に運搬し、製造業者等に引き渡す場合は、排出事業者と産業廃棄物収集運搬許可業者との間で契約書の締結が必要です。その上で産業廃棄物のマニュフェストの適正な運用を行ってください(引渡しのために家電リサイクル券が必要であることに変わりはありません)。
家庭や事業所で使用していた家電の処分方法
Q. 家庭で使っていた業務用家電はどう処分すればよいですか?
A. 家庭から排出された業務用家電は 一般廃棄物 として扱われ、家電リサイクル法の対象外です。以下の方法で適切に処分してください:
- 購入した販売店、または買い替えを予定している販売店に処分を相談する。
- お住まいの市町村に問い合わせる。
Q. 会社や学校で使っていた家庭用家電はどう処分すればよいですか?
A. 会社や学校で使用していた家庭用家電は 産業廃棄物 に分類されますが、家電リサイクル法の対象である場合は、次の手順に従って処分してください:
- 購入した販売店に引取りを相談する。
- (一財)家電製品協会家電リサイクル券センター等に相談し、郵便局でリサイクル券を購入して処理を進める。
- 自社で運搬する場合: 産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。
- 自社で運搬できない場合: 許可を受けた産業廃棄物収集運搬業者に依頼し、適切に処分してください。
それぞれの状況に応じて、販売店や関係機関に相談しながら、法律に基づいた方法で処理を行うよう心がけが大切です。
まとめ
家電リサイクル法は、環境負荷を軽減するため、家電4品目の適正なリサイクルを義務付けています。不法な回収や処理は環境汚染につながるため、以下の方法で廃棄することが求められます。法令を遵守し、環境への配慮を徹底しましょう。