アスファルト撤去工事とリサイクル

解体業

建設現場で発生する副産物の再資源化は、循環型社会の構築において重要な課題です。この記事では、建設リサイクル法の概要や再資源化の現状、そしてその課題について解説します。

環境技術と建設リサイクル技術

建設リサイクル技術

建設工事から発生するコンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊、廃木材、汚泥などの副産物を再資源化する技術を指します。以下の方法でこれらの副産物が再利用されています。

  • コンクリート塊: 破砕・選別し、混合物を除去後、路盤材や建築物の基礎材、コンクリート骨材として再利用。
  • アスファルト・コンクリート塊: 破砕・選別後、再生アスファルトや路盤材として活用。
  • 廃木材: 細かく砕いて板材、製紙用チップ、固形燃料、セメント燃料化に利用。

平成14年に制定された「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」では、一定規模以上の工事で、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の再資源化が義務付けられています。

背景

建設副産物の種類

建設現場から発生する「建設副産物」は、建設工事に伴い副次的に発生するすべての物品であり、その種類としては、「建設発生土」、「コンクリート塊」、「アスファルト・コンクリート塊」、「建設発生木材」、「建設汚泥」、「紙くず」、「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず及び陶器くず」又はこれらのものが混合した「建設混合廃棄物」などがあります。「建設廃棄物」とは、これらの副産物は、一般廃棄物と産業廃棄物の両方を含む概念ですが、一般的には産業廃棄物を指す場合が多いとされています。

建設廃棄物の発生状況

令和3年度の産業廃棄物総排出量は約3億7,056万トンとなっており、そのうち建設業からの排出量は約7,515万トン全体の20%を占めています。リサイクル率は高いものの、建設廃棄物の発生量が多いため、さらなる循環型社会の構築が求められています。

建設リサイクル法の概要

高度経済成長期を経て、わが国の経済社会活動や国民生活における大量生産・大量消費・大量廃棄が進むなかで、建設工事においても、資源の利用から廃棄物の処理にいたる各段階での環境負荷の増大が問題となっていました。

このような中で、解体工事業者の登録制度の実施により分別解体の適切な実施を図り、また特定の建設資材の分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講じることにより、建設廃棄物全体のリサイクルの推進を目的とした、「建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)」が平成14年5月30日から完全施行されました。

同法では、特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた一定規模以上の建設工事について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けており、できるだけ分別解体を実施し、再資源化についての経済性の面における制約が小さくなるよう積極的に取り組むよう推進しています。

再資源化の状況と課題

  • コンクリート塊: 99%以上がリサイクルされ、主に再生クラッシャーランや再生骨材として利用されています。
  • アスファルト・コンクリート塊: 同様に高い再資源化率で、再生加熱アスファルト混合物などに活用。
  • 建設発生木材: 約91%がチップ化され、木材ボードや肥料、燃料などに再利用。
  • 建設汚泥: 骨材やブロックとして利用されていますが、質的多様性や高コストが課題です。

特定建設資材廃棄物に分類されるコンクリート塊およびアスファルト・コンクリート塊は、再資源化率が99%以上と高く、再資源化の取り組みは順調に進んでいます。しかし、その多くが付加価値の低い再生砕石としてリサイクルされているのが現状です。資源の徹底的な循環利用を目指すためには、今後、これら廃棄物の水平リサイクルを基本とした、より高品質なリサイクルの推進について検討する必要があります。

まとめ

建設現場で発生する副産物の再資源化は、循環型社会の構築において重要な課題です。コンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊のリサイクル率は99%以上と高い一方、木材や汚泥の再資源化にはコストや技術的課題があります。平成14年に施行された建設リサイクル法により、分別解体と再資源化が義務化され、環境負荷の軽減が図られていますが、さらなる高付加価値リサイクルの推進が求められます。