建築工事に伴って排出される廃棄物は多岐にわたり、適切な管理と処理が求められます。これらの廃棄物は、一般的に産業廃棄物とされ、特別な管理が必要な場合もあります。この記事では、建設業界で排出される廃棄物の種類や処理方法、関連する法律やリサイクルの重要性について解説します。排出事業者の責任や、適切な廃棄物処理による環境保護についても言及します。
1.建築工事から排出される産業廃棄物の種類
・建設業における廃棄物の定義
建設業で発生する廃棄物は、主に解体や建築工事中に発生します。これらは、通常の生活で発生する一般廃棄物とは異なり、産業廃棄物とされ、法的に特別な管理が求められます。具体的には、木くず、がれき類、金属くずなどが含まれます。
・産業廃棄物と一般廃棄物の違い
産業廃棄物は、工場や建設現場など特定の業種で発生する廃棄物であり、一般廃棄物は家庭や商業施設から出る日常的な廃棄物です。産業廃棄物は、その性質上、特別な処理や管理が必要とされる場合が多く、法律で管理が厳しく規定されています。

建設業に特有の廃棄物の一覧
建設工事から発生する主な廃棄物には以下のようなものがあります。
- 木くず
- がれき類
- 金属くず
- 廃プラスチック類
- 紙くず
- 繊維くず
- ゴムくず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶器くず
※工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物は『がれき類』に分類されます。
ガラスくず、コンクリートくず及び陶器くずとは?
ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等(工作物の新築、改装または除去に伴って生じたものを除く)
2.排出事業者とその責任
・建設業における排出事業者とは
廃棄物を排出する事業者、つまり建設業に従事する業者は、自らが発生させた廃棄物を適切に処理する責任があります。廃棄物処理法では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない」と規定し、これにより、排出事業者の処理責任が明確化されています。また、「事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物に再生利用等を行うことによりその減量に努める」、「事業者は、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し地方公共団体の施策に協力しなければならない」ことも規定されています。
・排出事業者の管理責任について
排出事業者は、産業廃棄物を適切に処理するために、処理業者に委託する責任があります。また、委託先が適切な処理を行うことを確認することも、事業者の責任の一部です。これに違反した場合、事業者にも責任が生じます。
3.工事計画時の検討
Reduce(出さない工夫)
Reuse(再使用する工夫)
Recycle(再利用する工夫)
≪リサイクル可能な主な廃棄物≫
- 木くず:パーチクルボード等の木質系ボード、製紙原料、燃料用チップ、セメント原料、エタノール燃料
- 金属くず:鉄、非鉄金属製品の再生
- コンクリート:再生砕石、再生砂、再生コンクリート用骨材
- 石膏ボード:石膏ボード原料、土壌改良材
- 塩ビ管・継手:塩ビ管・継手の再生原料
- 廃プラスチック:高炉還元剤、セメント原料、RPF原料
- ダンボール・紙くず:ダンボール原料、RPF原料
特別管理産業廃棄物の種類と注意点
・特別管理産業廃棄物とは何か
特別管理産業廃棄物は、通常の産業廃棄物とは異なり、有害性が高いものや、処理に特別な注意が必要な廃棄物です。例として、アスベストや有機溶剤が挙げられます。
・アスベストとその処理基準
アスベストは、取り扱いを誤ると健康被害を引き起こす恐れがあるため、法律で厳格な処理基準が設けられています。アスベストを含む廃棄物は、専門の処理業者に委託して安全に処理する必要があります。
・石膏ボードの廃棄と環境への配慮
石膏ボードは、建材として広く使われていますが、廃棄物として発生するときにはリサイクルが可能です。ただし、石膏ボードの処理には環境への影響があるため、適切な処理方法が重要です。
まとめ
事業活動に伴い発生する産業廃棄物を適正処理・リサイクルすることは排出事業者の責務です。産業廃棄物の収集運搬や処分を委託するにあたっては、適切な業者選定や確かな契約、適切な運用と管理が必要です。委託業者を選定する際は、委託業者が必要な許可や適切な施設を有しているかを必ず確認し、工事の元請業者が直接委託業者と契約書を締結しましょう。