廃棄物処理法におけるマニフェストの役割

産廃業

マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、廃棄物の適正な処理を確認・追跡するための制度です。排出事業者が自ら排出した産業廃棄物について、委託した内容どおり適正に処理されたことを把握・確認するためのものです。排出事業者は自らの責任で産業廃棄物を適正処理しなければならず、処理を委託する場合はマニフェスト(紙マニフェストまたは電子マニフェスト)を交付し、委託した廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか、確認する義務があります。

紙マニフェスト

紙マニフェストは複写式の伝票で、排出事業者が産業廃棄物の処理を委託した収集運搬業者に交付します。収集運搬、処分(中間処理、または最終処分)の各段階が終了するごとに、写しが排出事業者の手元に戻り、自ら排出した産業廃棄物が適正に処理されたことを確認できるものとなっています。紙マニフェストは5年間の保存が義務付けられています。また、紙マニフェストを1枚でも交付した場合は、毎年6月30日までに、前年度1年分の紙マニフェストの交付状況等について「産業廃棄物管理票交付等状況報告書」を作成し、所管自治体に提出しなければなりません。

マニフェストの区分・種類

マニフェストの区分

排出事業者、収集運搬業者、処分業者間でやりとりするマニフェストを一次マニフェスト、処分委託者としての中間処理業者、収集運搬業者、最終処分業者間でやりとりするマニフェストを二次マニフェストと呼びます。どちらも使用するのは同じ様式の用紙です。

マニフェストの種類

マニフェストには、産業廃棄物が処分業者に直接運搬される場合に用いる「直行用」と、処分業者に引き渡されるまでに、積替(区間委託)が行われる場合に用いる「積替用」の2種類があります。

直行用マニフェスト7枚複写の詳細

A票排出事業者の保存用
B1票運搬業者の控え
B2票運搬業者から排出事業者に返送され、運搬終了を確認
C1票処分業者の保存用
C2票処分業者から運送業者に返送され、処分終了を確認(運搬業者の保存用)
D票処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認
E票処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認

マニフェストの購入

紙マニフェスト

全国の都道府県協会で有償配布されています。https://www.zensanpairen.or.jp/federation/abaut/member/

※電子マニフェストは日本産業廃棄物処理振興センター情報処理センター(https://www.jwnet.or.jp/jwnet/)で管理されています。

電子マニフェスト

電子マニフェストはマニフェスト情報を電子化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が国の指定を受けた情報処理センター(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター)を介したネットワークでやりとりする仕組みです。メリットとして、『マニフェストの保存が不要になる』『交付等の状況報告書の提出が不要になる。』などが挙げられます。

※大阪市では、電子マニフェストの使用促進の取り組みとして、大阪市のすべての発注工事において、令和4年4月1日以降契約分から産業廃棄物の処理にあたり電子マニフェストの使用を義務化するとともに、本市が排出する産業廃棄物処理委託においては電子マニフェストを使用します。

まとめ

産業廃棄物を排出する事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、産業廃棄物の引渡しと同時に、必要事項を記したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付しなければなりません。マニフェストを発行した排出事業者や中間処理事業者は、毎年度、産業廃棄物管理票交付等状況報告書を各都道府県知事等に提出することが義務付けられています。また、不備や違反には罰則が設けられています。産業廃棄物の排出事業者は、自社の責任として、マニフェストについて正しく理解しておく必要があるでしょう。