解体工事施工技士は、解体工事の専門知識と技術を持ち、安全かつ効率的な工事を行うための資格です。この資格は、施工管理を適切に行い、工事現場の安全や環境面での配慮を求められる重要な役割を果たします。試験に合格するためには具体的な対策が必要です。本記事では、解体工事施工技士の資格制度や試験の合格率、難易度、勉強法などについて解説します。
1.解体工事施工技士とは
解体工事施工技士の資格制度の概要
解体工事施工技士とは、500万円未満の解体工事を行うための解体工事業の登録及び、施工に必要な技術管理者になれる国家資格です。資格を取得することで、建物や構造物を解体して撤去するために必要な専門知識と技術を有していることを証明できます。近年では建築物の大型化・複雑化、災害による損壊、リサイクル思考の高まり、廃棄物の処理問題など、さまざまな理由から専門知識を持った業者による解体工事が必要となります。このような状況のなか、解体工事の技術向上と専門家の育成が急務となったため、解体工事施工技士の資格が設けられました。
目的及び根拠となる法令
解体工事業に従事する現場管理者等の解体工事技術、廃棄物の適正処理、建設リサイクル法に対応した施工管理能力の向上を図ることを目的としています。建設業法施行規則第七条の三第二項の国土交通大臣登録試験であり、解体工事業に係る登録等に関する省令(国土交通省令)第七条第三号の国土交通大臣登録試験です。
受験資格
- 原則として解体工事実務経験年数8年以上
- 学歴・指定学科卒業によって必要実務経験の短縮が可能
学歴 | 必要な解体工事の実務経験年数 | ||
指定学科を 卒業した者 | 指定学科以外を 卒業した者 | ||
イ | 大学 専門学校(4年制)「高度専門士」 | 卒業後1年以上 | 卒業後1年6ヶ月以上 |
ロ | 短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校(2年制又は3年制)「専門士」 | 卒業後2年以上 | 卒業後3年以上 |
ハ | 高等学校 中等教育学校(中高一貫6年) 専門学校(1年制) | 卒業後3年以上 | 卒業後4年6ヶ月以上 |
ニ | その他 | 8年以上 |
※高等学校の指定学科以外を卒業した者には、高等学校卒業程度認定試験規則による試験、旧大学入学資格検定規程による検定試験に合格した者を含みます。
※指定学科は、国土交通省令(施工技術検定規則(土木施工管理・建築施工管理)に規定する学科です。
※実務経験は、解体工事に関するものに限ります。
2.解体工事施工技士試験の合格率
試験内容
解体工事施工技士の試験は、解体工事に関する幅広い知識と技術が求められる試験です。試験は、四肢択一式(50問・90分)と記述式(5問・120分)の2科目で構成されます。出題範囲は、土木・建築の基礎知識、解体工事施工の計画、解体工事施工管理、解体工法、解体用機器、安全管理、環境保全、副産物・廃棄物対策、関連法規その他となっています。
合格率
平均 56.3%(第1回から第27回まで) ※令和5年度(第31回)56.2%
合格者数
29,058名(第30回まで) ※登録者数 21,256名(令和4年5月現在)
合格するためのポイント
試験に合格するためには、過去問の徹底的な分析と実務経験の積み重ねが重要です。試験範囲は広く、技術的な理解だけでなく、法規や安全管理に関する知識も求められるため、計画的な学習が必要です。簡単な試験ではありませんが、繰り返し過去問を解いて、試験に備えましょう。
資格者登録制度
合格者には合格証明書を交付します。また、本人の申請により解体工事施工技士登録者名簿(毎年発行)に登録し、登録者には登録証と資格者証(携帯用カード)を交付しています。

3.解体工事施工技士の取得メリット
キャリアアップと年収の増加
解体工事施工技士の資格を取得することで、キャリアアップの機会が広がります。また、専門職としての評価が高まるため、年収の増加にもつながることが多いです。
専門知識の習得と評価
資格取得により、専門的な知識と技能が公的に認められるため、業界内での評価が向上します。特に、解体工事に関わる現場では、高い技術力と安全管理能力が求められるため、資格保持者の需要は高いです。
業界での需要と近年の動向
解体工事業界は、老朽化した建築物の増加や都市再開発の進展により、需要が高まっています。このため、解体工事施工技士の資格保持者は今後さらに重要な役割を果たすと考えられます。
まとめ
解体工事施工技士資格は、解体工事に必要な知識と技術を有していることを証明する国家資格です。解体工事業界は未経験者でも活躍できますが、解体工事施工技士有資格者が優遇されているのが現実です。解体工事に特化した唯一の資格である解体工事施工技士資格を取得して、キャリアアップにつなげましょう。