解体工事を行う際には、業者が必要な登録や許可を持っているかを確認することが重要です。解体工事に関連する登録や許可には、「解体工事業登録」と「建設業許可」がありますが、これらはそれぞれ異なる要件や規模に応じた制度です。以下で、その違いと重要性について詳しく解説します。
1. 解体工事業登録
「解体工事業登録」は、建設リサイクル法に基づいて、解体工事を行うために必要な登録制度です。この制度は、特に小規模な解体業者を対象としており、建設業許可を持っていなくても工事を行うことが可能です。
- 登録対象: この登録は、税込み500万円未満の解体工事を請け負う業者が対象です。契約書が複数存在する場合でも、関連する一連の工事の総額が500万円を超えない限り、この登録で対応が可能です。
- 取得の難易度: 解体工事業登録は、比較的取得が容易です。申請に必要な書類としては、申請書、技術管理者の氏名、誓約書、実務経験証明書などが含まれます。また、登録手数料は3.3万円で、建設業許可に比べて費用も低く抑えられます。
- 業者の傾向: 解体工事業登録を持つ業者は、比較的小規模で、解体を専門とする会社が多いです。小規模な案件を中心に、迅速に対応できる点が強みです。
- 作られた経緯: この登録制度は、元々500万円未満の解体工事には許可が不要でしたが、不法投棄や違法な解体手法の横行を防ぐため、2001年に施行されました。これにより、適正な手続きを経た業者のみが解体工事を行えるようになり、業界全体の健全化が図られています。

2. 建設業許可
一方、「建設業許可」は、より大規模な建設工事を行うために必要な許可で、解体工事を行うためには特定の業種の許可を取得する必要があります。2014年に改正された建設業法では、「解体工事業」が新たに専門業種として追加され、解体工事に関する規制が強化されました。
- 許可対象: 建設業許可は、500万円以上の工事を請け負う際に必要です。許可を取得するためには、「解体工事業」や「土木工事業」、「建築工事業」など、解体工事に関連する業種の許可を得る必要があります。これにより、幅広い工事を請け負うことが可能となります。
- 取得の難易度: 建設業許可は、解体工事業登録に比べて取得の難易度が高く、申請に必要な書類も多岐にわたります。具体的には、許可申請書、役員一覧表、営業所一覧表、工事経歴書、株主調書、財務諸表などが必要です。また、手数料も大臣許可の場合は15万円、知事許可の場合は9万円と、費用も高額です。
- 業者の傾向: 建設業許可を持つ業者は、中規模から大規模の企業が多く、解体工事に限らず、他の建設工事も幅広く行っていることが一般的です。これにより、社会的な信用度が高く、安定した経営基盤を持つ業者が多いとされています。
- 作られた経緯: 建設業許可制度は、1949年に建設業を営む者の技術力向上と請負契約の適正化を図ることを目的に制定されました。この許可制度は、建設業全体の品質管理と安全性を確保するために重要な役割を果たしており、業界全体の信頼性を高めるものです。

適切な業者の選び方
解体工事を依頼する際には、業者が「解体工事業登録」または「建設業許可」を持っているかを確認することが重要です。登録や許可の有無により、業者の信頼性や工事の規模、品質が大きく異なるため、工事内容や予算に応じて適切な業者を選ぶことが求められます。
たとえば、比較的小規模な工事を依頼する場合は、解体工事業登録を持つ業者でも十分に対応可能です。一方で、500万円以上の工事や複数の工事をまとめて依頼する場合には、建設業許可を持つ業者を選ぶことで、より安定したサービスを受けられるでしょう。
不法業者に依頼しないために
不法業者に依頼することを避けるためには、契約前に必ず業者の登録証や許可証を確認することが重要です。また、工事契約時には、しっかりとした契約書を取り交わし、詳細な見積もりや工事内容の説明を受けることが必要です。これにより、工事中や工事後のトラブルを未然に防ぎ、安心して解体工事を進めることができます。
まとめ
解体工事を行う際には、「解体工事業登録」と「建設業許可」の違いを理解し、工事の規模や内容に応じて適切な業者を選ぶことが大切です。どちらの許可や登録が必要かを判断するためには、工事の規模や予算、そして業者の信頼性を総合的に考慮し、事前に十分な確認を行うことが重要です。これにより、安心して解体工事を依頼し、適正な施工を実現することができるでしょう。